【Salesforce】オブジェクトとレコードの違いと役割を理解しよう

はじめに
Salesforceを活用して業務を効率化するためには、「オブジェクト」と「レコード」の仕組みを正しく理解することが不可欠です。
これらはSalesforceにおけるデータ管理の土台であり、データの構造や活用方法を決定づける重要な概念です。
本記事では、オブジェクトとレコードそれぞれの意味と役割、両者の関係性を丁寧に解説し、Salesforceを初めて使う方でもスムーズに理解できるよう導きます。
オブジェクトとは何か?
データ管理のための「入れ物」

Salesforceにおける「オブジェクト」は、情報をカテゴリごとに整理して保存するための構造体(コンテナ)です。
これをデータベースの「テーブル」にたとえると理解しやすいでしょう。
たとえば「取引先」や「商談」といったビジネス上のエンティティごとに、専用のオブジェクトが用意されており、それぞれが異なる種類の情報を保持します。
💡「取引先」オブジェクトでは、会社名、所在地、電話番号、業種などの情報を管理。
💡「商談」オブジェクトでは、取引先との契約金額、商談ステージ、予想受注日などの情報を保持。
このように、オブジェクトは業務の分類と整理を可能にする、非常に重要な役割を担っています。
標準オブジェクトとカスタムオブジェクトの違い
標準オブジェクト:Salesforceが初めから用意している基本セット
Salesforceには、ビジネスに必要な情報をすぐに管理できるよう、あらかじめ多くの標準オブジェクトが用意されています。代表的なものは以下の通りです。
リード(Lead):見込み顧客の情報を保持
取引先(Account):企業や組織に関する情報を管理
商談(Opportunity):売上見込みや進捗状況の追跡
ケース(Case):顧客からの問い合わせ・サポート対応を記録
これらのオブジェクトは、営業やカスタマーサポートといった基本業務に必要な機能をカバーしており、初期段階からすぐに活用できます。
カスタムオブジェクト:業務に応じて作成できる柔軟なデータ構造
一方で、企業の業務フローは千差万別。標準オブジェクトだけでは対応できないケースもあります。そんなときに役立つのがカスタムオブジェクトです。
カスタムオブジェクトを使えば、以下のような自社独自の業務に必要な情報もSalesforce上で管理できます。
例:
製品保証登録 / イベント参加履歴 / パートナー評価
作成時には、必要な項目(フィールド)を自由に設定でき、リレーション(他オブジェクトとの関係付け)やレイアウトも自在にカスタマイズすることができます。
レコードとは何か?
オブジェクトの中に保存される実際のデータ
「レコード」は、オブジェクト内に格納される具体的なデータエントリです。データベースにおける「行(row)」に該当し、1件ごとの情報を表します。
たとえば、「取引先」オブジェクト内の1レコードには以下のような内容が含まれます。
会社名:株式会社グローバルテック
所在地:東京都中央区…
業種:ソフトウェア開発
このように、レコードは「実際のビジネス活動で扱う情報」を個別に管理するための要素であり、1レコード=1取引先、1商談、1問い合わせといったように、業務の単位と一致します。
レコードの構成要素
レコードは、オブジェクトに設定された各「項目(フィールド)」にデータを入力することで形成されます。
たとえば、取引先オブジェクトでは以下のようなフィールドがあります。
テキスト型:会社名、担当者名
数値型:従業員数、売上高
選択リスト型:業種、地域
こうした多様なフィールドを使って、ビジネス情報を網羅的かつ正確に記録することが可能になります。
オブジェクトとレコードの関係性
多対多の管理を可能にする構造
オブジェクトとレコードの関係は、「1つのオブジェクト=複数のレコードを持つ」という構造です。
そして、Salesforceではリレーション(参照関係)を活用することで、異なるオブジェクト間に論理的なつながりを作ることができます。
✔ 1つの取引先(オブジェクト)には、複数の商談(レコード)が紐づいている
✔ 各商談には、関連するアクティビティ(ToDo、電話記録など)もつながっている
このように、オブジェクトとレコードの組み合わせにより、「誰が・いつ・どんな取引を・どの企業と行ったか」といったビジネスの流れを一元管理できます。
効果的なデータ管理のためのポイント
Salesforceの導入効果を最大化するためには、オブジェクトとレコードの正しい活用が欠かせません。
以下のポイントを意識することで、よりスムーズで正確なデータ運用が可能になります。
データ構造をシンプルに保つ
あれもこれもとフィールドを増やしすぎると、入力ミスやデータ品質の低下につながるリスクがあります。必要最低限に絞った構造を設計しましょう。
カスタムオブジェクトは業務の粒度に応じて設計
業務プロセスの流れに合わせて、関連性を意識したカスタムオブジェクトを作成することで、データの検索性と活用度が格段に上がります。
レポートやダッシュボードと連携させる
正しく構造化されたオブジェクトとレコードは、Salesforceの分析機能を活かすうえでも重要です。定期的な集計・可視化を行い、意思決定に役立てましょう。
まとめ
Salesforceにおける「オブジェクト」と「レコード」は、業務データを整理・分析・活用するための基本的な構造です。オブジェクトは情報のカテゴリを定義する枠組みであり、レコードはその中に保存される具体的なデータです。
これらの構造を理解し、標準オブジェクトとカスタムオブジェクトを適切に使い分けることで、情報の一元管理が可能になります。また、オブジェクト間のリレーションを活用することで、複雑な業務フローも可視化・最適化できるようになります。Salesforceの真価を引き出すには、こうした基礎的な仕組みの理解が第一歩です。
シリーズ目次
1年生シリーズの目次(クリックで展開)
フェーズ | トピック内容 |
---|---|
🟢 導入前 | Salesforceって何ができるの?初心者向け超入門ガイド |
システム管理者とは?Salesforce管理者の役割と求められるスキル | |
クラウドって何?オンプレミスとクラウドの違いを理解しよう | |
Salesforceを導入するとどんなメリットがあるの?ビジネス視点で考える | |
成功するSalesforce導入とは?導入の流れと準備すべきこと | |
ライセンスの種類を理解しよう!どのプランが自社に合うのか? | |
Salesforceの基本用語を押さえよう! | |
実際に画面をSalesforceの標準UIを理解しよう! | |
Salesforceを学ぼう!Trailheadと公式ドキュメントを活用しよう | |
🟡 導入初期 | Salesforceにログインしてみよう!ホーム画面の見方 |
オブジェクトとレコードの違いと役割を理解しよう 本記事 | |
データの入力と編集をやってみよう!(レコードの作成・更新・削除) | |
ユーザー管理の基本!プロファイル・ロール・権限セットを設定してみよう | |
セキュリティ設定の基本!アクセス権とデータの保護を考えよう | |
標準オブジェクトとカスタムオブジェクトの違いを理解しよう | |
レポートを作ってみよう!データを見える化する第一歩 | |
ダッシュボードを作成してみよう!見やすいビジュアルを作るコツ | |
ワークフローとは?業務を自動化するための基礎知識 | |
メールテンプレートを作ってみよう!標準機能で業務効率化 | |
🟠 導入後しばらく経過 | Lightningページのカスタマイズに挑戦!使いやすい画面を作る |
オブジェクトのレイアウトを変更して、必要な情報を整理しよう | |
プロセスビルダーを使って簡単な自動化を実装しよう | |
フローを使ってより高度な業務プロセスを自動化する | |
数式フィールド・積み上げ集計フィールドの活用術 | |
Salesforceモバイルアプリを活用して、外出先でも業務を効率化 | |
レポートを活用した業務分析!データドリブンな意思決定をサポート | |
AppExchangeとは?便利なアプリを導入してSalesforceを強化しよう | |
データインポートとエクスポート!データの管理を適切に行う | |
トラブルシューティングの基本!エラーの原因を特定し解決する | |
🔵 導入後中期 | Salesforce運用のベストプラクティス!管理者としての心構え |
監査ログを活用してセキュリティを強化する | |
定期メンテナンスのポイント!システムを健全に保つには? | |
Salesforceのアップデート情報をチェックし、最新機能を活用する | |
複雑な承認プロセスを構築して、業務フローを効率化 | |
カスタムボタン・リンクを使ってSalesforceの操作を簡単にする | |
APIと外部システム連携の基礎知識(初級編) | |
ユーザートレーニングを実施し、社内でSalesforceを定着させる | |
運用ルールを決めて、Salesforceのデータ品質を向上させる | |
Salesforce認定アドミニストレーター資格に挑戦!学習の進め方とコツ |
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