Salesforceローコード開発 エンジニアが知るべきヒント
はじめに
今回の記事では、初めてSalesforceを使う方でも理解しやすいように、標準オブジェクトやカスタムオブジェクトの違いや、データの効率的な管理方法について詳しく解説していきます。
Salesforceを使ったローコード開発において重要な要素なので、理解を深めてもらえたら嬉しいです。
プロジェクトにすぐに役立つポイントを押さえつつ、データ管理の基礎をしっかりと学んでいきましょう。
具体的な機能にふれる箇所では、実際の設定方法がわかる記事もご紹介していくので、ご興味がある方はそちらもチェックしてみてくださいね。
どこか一つでも、実際のプロジェクトに活用してもらえるポイントがあれば、どんどん活かしてみてください!
データ管理の基本
データ管理は、Salesforceを使ったローコード開発において、プロジェクトの成功の鍵となる大切な要素です。
Salesforceをまだ詳しく知らない方にもわかりやすく、基本的なデータ管理のポイントを中心に紹介していきます。
標準オブジェクトとカスタムオブジェクトの使い分け
Salesforceには、「標準オブジェクト」と「カスタムオブジェクト」があります。
標準オブジェクトは、名前の通りあらかじめ定義されていて、一般的なビジネスでよく使う項目が揃っています。
一方でカスタムオブジェクトは、自分のビジネスに合わせて自由に作れるものです。
ポイントは、標準オブジェクトをできるだけ活用して、本当に必要な場合にのみカスタムオブジェクトを使うように意識して設計を行うことです。
そうすることで以下のような大きなメリットがあります。
Point
・導入にかかる初期投資を削減できる。
・Salesforceの年3回のバージョンアップの恩恵を受けられる。
・AppExchange(機能を拡張するためのアプリ)の価値を最大限に利用できる。
参照・画像引用元:
Salesforceサクセスナビ「実装時の注意点を理解しましょう」
メリットを活かすことで、ユーザーにとって利用しやすく、開発者にとってはメンテナンスしやすい組織を設計できるでしょう。
リレーションシップの設計
データを効率的に管理するには、オブジェクト同士の関係性を正しく設計することも大切です。
例えば、「ルックアップ関係(参照関係)」や「マスターディテール関係(主従関係)」を設定すると、オブジェクト間のリンクを作ることができます。
この設定を行うことで、関連するデータを簡単に参照でき、データの整合性をきれいに保つことができます。
しかし、ルックアップ関係とマスターディテール関係には考慮すべきことがいくつかあります。
Point
・主従関係の特徴は、積み上げ集計が使えるもののリレーション個数などに制限がある。
・カスタムオブジェクトを主、標準オブジェクトを従とした主従関係の設定はできない。
・カスタムオブジェクトは、データを保持している場合、主従関係の構築が困難なので、カスタムオブジェクトを使用する際は、レコードを作成する前に主従関係の設定を行う必要がある。
参照:
Salesforce主従関係・参照関係とは? 作成・設定方法や注意点を解説
上記で紹介したポイントを意識して、うまく活用することができれば、ルックアップ関係もマスターディテール関係もとても便利な機能です。
プロファイルと権限セットの設定
Salesforceでは、データのセキュリティを確保するために、ユーザーごとにアクセス権を設定できます。
これを「プロファイル」と「権限セット」で管理します。
まず、プロファイルは基本的なアクセス権を設定するものであるのに対して、権限セットは特定のユーザーに追加のアクセス権を与えたい時に使います。
しかしこちらも考慮すべきポイントがいくつかあります。
Point
・プロファイルの権限のうち、すべてが権限セットで設定できるとは限らない。
・権限セットはエディション別の機能制限がある。
参照:
サクセスナビ「プロファイルと権限セットを使って、アクセス方法や権限を設定する」
考慮すべきポイントはあるものの、これらの機能を利用することで、誰がどのデータにアクセスできるかを細かくコントロールすることができます。
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共有ルールとロール階層の活用
共有ルールとロール階層を活用すると、組織内でのデータ共有を柔軟に管理できます。
共有ルールを設定すれば、特定の条件に合ったデータを特定のユーザーグループに共有できるようになります。
また、ロール階層を設定すると、組織の階層構造に基づいたデータアクセスを管理することができます。
しかしこちらもまた考慮すべきポイントがあります。
Point
・組織で共有設定がされており、アクセス可能な状態の場合、レコードに対してアクセスを制御することができない。
・特に大容量データを扱う場合、ロール階層や公開グループの複雑さ、共有ルールの複雑さ、共有ルールの数はパフォーマンスに影響を与えることがある。
・カスタムオブジェクトではロール階層を使用して共有アクセス権を設定できるが、標準オブジェクトは設定できない。
参照:
Salesforce/Force.comのデータセキュリティ(レコードアクセス)
Salesforceの共有設定でレコードへのアクセスを制御するには
こちらも考慮ポイントを理解して有効に活かすことができれば、とても便利な機能です。
入力規則と検証ルール
データの品質を保つためには、ユーザーがデータを入力する際のルールを設定を行っておくことも重要です。
入力規則と検証ルールの機能を使ってルールを設定することで、データが正しい形式で入力されるように制御できます。
これにより、間違ったデータがシステムに入るのを防げます。
Salesforceには、重複を管理するためのツールが用意されていて、これを使って重複データを見つけて必要に応じて統合することができます。
データが多数重複していると、システムのパフォーマンスが低下してしまうので、ルールを設けてデータ品質を保ったり、定期的にデータクレンジングを行うことで、データの整合性を保つこともできます。
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効率的なデータ管理術
Salesforceでのローコード開発において、効率的なデータ管理もまた、とても大切です。
ここでは、データ管理を効率化するための具体的な方法を紹介していきます。
データローダーとインポートウィザードの活用
大量のデータを一括でインポート・エクスポートするために使うツールと機能がデータローダとインポートウィザードです。
データローダーは、CSVファイルを使ってデータを一括でインポートしたり、エクスポートしたりする時に便利です。
一方でインポートウィザードは、より直感的な操作が可能で、特定のオブジェクトにデータを追加する時に役立ちます。
データインポートする時のベストプラクティスとして、以下のポイントに注意しましょう。
Point
データの準備:
事前にデータを整理して、重複や欠損をチェックする。
マッピング:
インポートするデータフィールドとSalesforceのフィールドを正確にマッピングする。
検証:
インポート前にテストデータで検証して、問題がないか確認する。
データのインポート・エクスポートツールも、使いこなすことができるようになるととても便利なので、機会があれば積極的に活用しましょう。
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バッチ処理の利用方法
大量のデータを処理する場合、一括でデータを更新するバッチ処理も役立ちます。
Salesforceのバッチ処理機能を使えば、一度にたくさんのデータを効率よく処理することができます。
この機能を使用することで、データ更新の時間を短縮し、システムパフォーマンスを保つことができます。
しかし大量データを扱う時は、注意するべきこともあります。
Point
処理の分割:
一度に大量のデータを処理するのではなく、適切なサイズに分割して処理する。
エラーハンドリング:
処理中にエラーが発生した場合に備えて、適切なエラーハンドリングを設定する。
一括処理はとても便利ですが、気をつけるポイントを考慮しつつ、開発を進めていきましょう。
レポートとダッシュボードの作成
Salesforceでは、データを視覚的に分析するためのレポート機能が充実しています。
効果的なレポートを作成するためには、以下のポイントに注意しましょう。
Point
目的に合ったレポートタイプの選択:
サマリーレポートやマトリックスレポートなど、目的に応じたレポートタイプを選ぶようにする。
フィルターの設定:
必要なデータのみを表示するために、適切なフィルターを設定する。
グラフの活用:
データを視覚的に理解しやすくするために、グラフを活用する。
次にダッシュボードについてです。
データ可視化と分析機能をを使うことで、複数のレポートを一つの画面で表示することができ、データのトレンドやパターンを視覚的に把握できます。
ポイントに注意しつつ、ダッシュボードを作成しましょう。
Point
ウィジェットの配置:
重要な情報を見やすく配置する。
リアルタイムデータの表示:
リアルタイムで更新されるデータを表示することで、最新の情報を常に把握できる。
ポイントを踏まえて、環境に適した見やすくわかりやすいレポートとダッシュボードを作成してみてください!
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データ管理と自動化のシナジー
Salesforceの強力な機能を最大限に活用するには、データ管理と自動化を組み合わせることも重要です。
ここでは、データ管理と自動化のシナジーを活かすための具体的な方法を紹介します。
プロセスビルダーとフロー
プロセスビルダーは、Salesforceでの自動化を簡単に設定できるツールです。
特定の条件が満たされた時に、レコードの更新やメールの送信などのアクションを自動的に実行できます。
プロセスビルダーを使うと、手動で行う作業を減らして、業務効率を向上できます。
それに対して、フローは、プロセスビルダーよりも複雑な自動化を実現できるツールです。
フローを使えば、ユーザーとのやり取りを含むプロセスや、複数の条件分岐を含むビジネスロジックを設定できます。
これらの自動化機能をうまく活用できれば、複雑な業務プロセスを自動化して、ミスを減らし、作業時間を短縮することができます。
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外部システムとのAPI連携の基本
画像引用元:
サクセスナビ「外部システムとの連携パターン」
Salesforceは、他のシステムとデータを連携させるためのAPIを提供しています。
APIを使うと、Salesforceと他のビジネスアプリケーション間でデータをリアルタイムに同期したり、Salesforce外部のシステムとデータをやり取りすることもできます。
API連携の際には、認証やデータフォーマットの一致を入念に確認して、エラーハンドリングをしっかりと設定することが大切です。
この記事では深く触れませんでしたが、外部システムとの連携機能はとても便利なので興味がありましたら一度調べてみるのも良いかもしれませんね。
ぜひ、Salesforceを中心としたエコシステムを構築し、業務全体の効率を向上してみてください。
まとめ
今回の記事では、標準オブジェクトやカスタムオブジェクトの違いや、データの効率的な管理方法について、初めてSalesforceを使う方でも理解しやすいように、詳しく解説しました。
記事の中で触れた効率的なデータ管理と自動化などの内容はどれも、SalesforceSalesforceを使ったローコード開発において、成功の鍵となることでしょう。
この記事が、読者の皆さんに何らかの形で役立ち、Salesforceの活用がさらに進み、皆さんの業務効率が向上することを願っています。
また、このブログが皆さんにとって、また訪れたくなるようなものになるよう、これからも有益で実践的な情報を提供していきます。
ぜひ楽しみにしていてくださいね!