こんにちは。
最近おもしろいサイトを発見しまして、「Killed by Google」というサイトなのですが、
今までにGoogleがサービス終了、及びサービス終了を発表しているものがリストアップされているサイトです。予定のものについてはギロチン、終了済のものについてはお墓アイコンで表示されています。懐かしいプロダクトなどが多い反面、天下のGoogleさんでもこれだけ失敗をしているというところで、変に勇気づけられている今日このごろです。役目を終えた系のプロダクトも多いですが。
さて、今回は「最適化スコア」について書いてみたいと思います。最近個人的にこの機能を使う事が多くなっており、それなりに便利に利用させてもらっています。過去にも弊社ブログの中で紹介記事がいくつかありますが、「使ってみた」系の記事は無かったり、あってもやや古いかなという感じでした。なので今回は思い切って「最適化スコア向上重視」でアカウント運用を行った結果、見えたこと、メリット・デメリット、私見含んだ所感を書ければと思います。
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この記事の目的
この記事を書くに至ったのは、最適化案・最適化スコアを日々の運用に取り入れる事で、なかなか導入できないプロダクトへのハードルが下がる様や、アカウントが補強・強化されていく様子や最適化案を使った時短や”ラク”に施策を実施出来る、といったところをできる限りお伝えしたいと考えたためです。最適化案が絶対的なものである、100%アカウントに良い影響を与える、成果を上げてくれるという事をお伝えするためのものではありません。というところをあらかじめご了承いただけますと幸いです。
最適化案・最適化スコアとは
まずは最適化案、及び最適化スコアについておさらいをしてみましょう。Google広告ヘルプには各々このように書かれています。
最適化案
「キャンペーンの掲載結果を改善できるよう、お客様ごとにカスタマイズされた改善案です。新しい関連機能を紹介するほか、入札単価、キーワード、広告を改善して予算を効率的に活用する方法を提案し、キャンペーンの全体的な掲載結果と効率の向上を支援します。」
「お客様のアカウントの過去の掲載結果やキャンペーン設定、Google 検索のトレンドに基づいて、掲載結果の改善につながる最適化案が自動生成されます。」
最適化スコア
最適化スコアとは、より良い掲載結果を得るためアカウントの設定がどの程度最適化されているかを示す推定値です。最適化スコアは 0% から 100% までで表され、100% のときアカウントは最も最適化されています。
スコアとともに、各キャンペーンを最適化するのに役立つ最適化案のリストが表示されます。各最適化案は、その案を適用したときの最適化スコアの影響をパーセンテージで示します。これらの最適化案を適用または非表示にすると、アカウントの全体的な最適化スコアが変更されます。最適化スコアは、キャンペーン、アカウント、クライアント センター(MCC)アカウントの各単位で利用できます。
上記に加えて…
最適化案・最適化スコアについてはGoogleさんの中でも現在激推ししているプロダクトという認識です。昨年の6月には以下のような動画も公開され、このあたりの時期からGoogleさん主催のセミナー(ウェビナー)、勉強会でもメインレベルで取り沙汰されている印象を受けています。
Googleのリードエンジニアさんも推してますね。
スコア向上を目標に適用してみた
実際に最適化スコア向上を目標として、ガンガン最適化案を適用してみました。先に開始と最終スコアを提示しておきます。
目標スコア:100%
開始時スコア:45.66%
最終スコア:62.40%
初動は配信に影響のないものから適用
最初に手を付けたのは「重複キーワードの削除」「オーディエンス追加(IMSA:モニタリング)」「過去1年にトラフィックのなかったKW削除」などです。
重複キーワードの削除については、下図のように、「今の環境であれば維持するキーワードで削除するキーワードのクエリを拾えるから消しちゃうね!」という最適化案内容でした。
KWの構成に敏感な方でも、これを維持すればこれだけ削除しても同じ検索語句で広告表示できる、とわかりやすく説明されているため、納得度は高いのではないかなと思います。もしご提案が必要な場合は、上の枠内の「ダウンロード」を押すことで、この内容がそのままエクセルで保存出来ます。
とんでもない量の削除提案がされていますが、これでスコアは0.8%改善しました。んー低い!IMSAの導入や、トラフィックの無いKWの削除も同様に微々たるスコア改善度でした。量よりもやる内容が重視されているようです。いくつかの細々とした最適化案を適用して合計1.8%改善。100%まではこんなにも道のりが長いのか…。
広告表示オプション関連に手を付け始める
先述したものよりも、改善度が高かったのが「広告表示オプション」関連の最適化案です。0.5%~5%超えと、それなりにパンチの効いたスコアアップが見込めそうです。「広告表示オプションは最初からフル装備でしょ!」という意見もあるかと思いますが、昔からやっているアカウントで新しいオプションに対応できていなかったり、不承認になりいつの間にか外れてしまっている、紐付けが出来ていない、そもそもの設定漏れ、最初からやってない…などなど、様々な原因で広告表示オプションが設定出来ていない事があります。こういったチェック機能としても最適化案は便利に使えますね。
設定画面としても非常にシンプルで、例えばコールアウトだと、「最適化案を表示」を選択すると下図のようなフォームが表示されます。
いちいち広告表示オプションの画面に飛ばずとも、最適化案タブ内で完結出来るのは便利ですね。
構造化スニペット、コールアウトの登録でスコアは約7%改善しました。電話番号表示オプションはそもそも表示することが不適切なお客様のため、非表示に。サイトリンク表示オプションはリンク先の確認、説明文などの確認が必要なため、ご提案をしています。この追加によるスコアの増加見込みとして1.2%あります。まだまだ100%へは遠いですが、広告内容の充実も同時に出来るため、スコア抜きでも、しっかりとアカウント改善が出来ていると言えますね。
少し躊躇するが、大きなスコア増加が見込める自動入札の導入
自動入札の導入も結論から言うと実施しました。スコアの上がり幅がここからインフレを起こし始めるからです。下図を御覧ください。
(※対象アカウントで改善前のキャプチャを取り忘れてしまったため、他のアカウントになります)
コンバージョン数の最大化(MaxCV)導入で9.3%、目標コンバージョン単価(tCPA)導入で4.8%…。今までやってきたスコア導入は何だったんだ…と思わざるを得ないインフレですね。何度も言いますが、今回はスコア増加目標です。なので適用せざるを得ない最適化案と言えます。
対象アカウントでは目標コンバージョン単価(tCPA)を導入し、8%の改善に成功しました。
余談:最適化案を用いた自動入札の導入について
自動入札戦略の導入について、皆さんはどうお考えでしょうか?「変な風に動いたらやだから入れない(失敗したから入れない)」と思う方もいれば「入札が自動になって目的に準じて動いてくれるんだから入れるでしょ!」派、「何入れたら良いかわかんない」派、「プロダクトを理解してるから、入れる入れないはしっかり見極めてる」派など、僕が見てきた運用者の中でも様々なタイプの方がいらっしゃいます。
自動入札の導入は考え方によってかなり躊躇する所だとは思いますが、こと最適化案に表示されている自動入札の導入案については前向きに考えたほうが良いです!
というのも、最適化案に表示され、オススメされている自動入札は裏側でしっかりシミュレーションされた上で提案されているものだからです。
最適化案をよく見ていただくと、自動入札を提案されているキャンペーンとされてないキャンペーンがあったり、自動入札未導入にも関わらず1つも自動入札適用を提案されていないアカウントがあるかと思います。闇雲に提案されているわけでは無く、シミュレーションの結果、手動入札でやるよりもアカウントが良くなる見込みがあるから提案されているわけですね。より洗練された最適化案では推奨目標CPAや増加見込みコンバージョン件数も合わせて表示されています。
と、いうちょっと裏側の情報も頭の片隅に入れつつ、自動入札が提案されているアカウントについては導入を前向きに考えてみて下さい。
もう限界、すぐに導入できない項目も多数ある
いきなり弱気な見出しになっていますが、そうです、実は先述した自動入札の適用までで検証期間が終わってしまいました。実はこれ以降はもっとスコア増加幅の大きいものになります。出来るのであればやるべきですが、運用やアカウント構成に大きな影響を与える可能性があったり、広告主様との打ち合わせが必要なものも存在します。
残っている項目は下記の通りです。導入に向けた個人的な見解も合わせてご紹介します。(非表示処理をしたものを含めています)
カスタマーマッチのリストアップロード
スコア増加幅 +6.4%
導入できるか?:✕(非表示)
顧客情報を取り扱うことになるため、広告代理店の我々にとってはかなり難しいプロダクトです。勿論、カスタマーマッチ自体は大きな成果が見込める場合もあるので、出来るのであればやる他は無いですが、コンプライアンスの観点や何かあった時のリスクも考えると、代理店としても広告主様としてもすぐに出来るものではないなと考えています。
レスポンシブ検索広告(RSA)の導入
スコア増加幅 +7.2%
導入できるか?:◎
「特におすすめの最適化案」として提案されています。が、これは施策の都合上止めているため、ゆくゆくは配信に載せる予定です。ただ、せっかく今回自動入札を導入したので、これもなるべく早く復活させるべきではありますね。こちらは非表示にはせずに常にアラートとして、敢えて最適化案を残すことにしました。
レスポンシブディスプレイ広告(RDA)の導入
スコア増加幅 +4.5%
導入できるか?:◎
完全に提案が漏れていた典型例です。頃合いを見てお客様にご提案をし、導入します。今思い返してみると、この最適化案が無かったらRDAが無いことについては、正直あまり気にしていなかったかもしれません。気づきを得るためのツールとしても最適ですね。
動的検索広告の作成
スコア増加幅 +3%
導入できるか?:◯(要件によっては△)
DSAの導入については、今回は諸々の事情があり、敢えて見送っています。DSA自体はすごく便利で、個人的にはガンガン使っているプロダクトではありますが、今回はアカウントの内容や配信構成を吟味し、一旦見送ることにしました。プロダクトが良い、スコアも成果も伸びそうな最適化案はいくつも上がっていますが、しっかりとアカウントの状況を吟味した上で適用することが必要だと思います。逆に言えば、広告主様や配信に大きな影響を与えず、広告枠が広がるなど、プラスしかない「コールアウト」や「構造化スニペット」などは即断で入れられるケースの方が多いと思うので、そういったところから適用していくのがおすすめです。
ターゲットの拡張を使用
スコア増加幅 +3.8%
導入できるか?:◯or✕(非表示)
これは賛否両論あるかと思いますが、個人的には
◯:インテント、アフィニティ、コンテンツ
✕:リマーケティングなど、特定のユーザーやページに配信するもの
で分けて良いかと考えております。今回はリマーケティングのみでこの提案が出ていたため、非表示としました。ただ、類似ターゲティングなど、ややトリッキーにリマケリストを使用されている際はリスト拡張をせずにターゲティングで拡張させてみるのも良いかと思います。(完全にスコア目当て)
予算の引き上げ&予算の振り替え
スコア増加幅 それぞれ+2.5%
導入できるか?:✕
そもそも予算上限が決められているため、引き上げは超過リスクを増加させると判断し、見送っています。また、振り替えについてもキャンペーンごとの予算が決まっている案件であるため、見送ることにしました。ただし、逆に見ればこの最適化案は増額のご提案などには使えそうですね。振り替えについても、今回は事情があって見送っていますが、特に要件の無いアカウントで出ているということは、そもそものキャンペーンへの予算振り分けを間違えている証拠ですので、この機会に見直してみると良いかもしれません。
100%は難しいけれど…
今回この検証をやってみて、そこそこ仕上がっているアカウントでの最適化スコア100%(非表示なし)の達成維持は、率直に言って極めて難しいと感じました。先述の通り、出来ない事も多く提案されます。非表示にしても純粋なスコアは上がりません。更に最適化スコアは日々新しいものが提案されていきますので、放置したら放置した分下がってしまう可能性もあります。
ただ、その中でも85%~90%くらいの水準は維持したいところです。この水準を保つためには、やはり最適化案を見ることを日常化するのが良いと感じています。ちょこちょこ見て、適用できるものは適用するだったり、要所要所(例えばレポーティング時)でしっかり見て、最適化案を次回施策に織り込む、予算管理時に絶対見る、配信開始後1週間で見て入稿漏れなどが無いかチェックする…などなど。これにより運用の手間もある程度カット出来るのではないかなとも考えています。みなさんでも最適化案をどのように活かしていくか、一度検討してみても良いかもしれませんね。