セオリーというものが世の中には溢れています。
リスティング業界も例に漏れずセオリーと言われる手法は多いのですが、今回はセオリーではない事をした結果、成果に繋がった事例を紹介しつつセオリーとは何なのかを自分なりに考えてみたいと思います。
※セオリーというと語弊がある可能性もあるので補足しておきますが、新人が一番最初に教わるやり方程度に思ってください。
事例:リストを切り分けないことで成果増
当ブログでもよく取り上げられるテーマであり、私自身も幾つか記事を書いているリマーケティングリストの切り方です。
《リマケ・リタゲ成功例》キーワード単位でのリスト化によるコンバージョン獲得
リーセンシー(期間)によるCVの違い
上記は過去記事ですが、リーセンシーやURL、流入キーワードによってユーザーの購買意欲が違うため『モチベーションの高いユーザーを絞り込んで広告配信を行えば効果的』という想定のもと、リストを作成して配信しています。
今回の事例も流入元で切り分け、モチベーションが低いと考えられるユーザーを除外したリストに配信を行っていました。
しかし、成果が芳しくないためリストの切り分けをやめてみました。
結果
集計期間は「流入元で切り分けたリスト」が6ヶ月間、「切り分けていないリスト」が3ヶ月間となっています。
表示回数を合わせた方が見やすそうだったので期間はバラバラです。
さて、話題に上げるくらいですので切り分けていないリストの方が良いのは当然ですが、どうしてこうなるのかを考えなければいけません。
考察
考察する前にそれぞれのリストサイズは以下の通りです。
全体のリストが29,000に対して切り分けたリストは1,600まで絞り込んでいます。
切り分けたリストに関しては複数のリストを単純に合算したのでユーザーの被りが生じていると思いますので実際にのユーザー数でみると更に少ないと思われます。
CPC
さて、一番違いがあるのはCPCです。
これは入札単価が違うためなのですが、入札単価が違う理由はリストのサイズが違うためです。
切り分けているリストはその分リストサイズが小さく、表示機会が少なくなるため入札単価を高めに設定しています。
一方、切り分けていないリストは表示機会が多くなるため低単価で入札していても十分にクリックが集まります。
クリック率
次に確認したいのはクリック率です。
上記の理屈で考えると流入元で分けたリストでは表示機会こそ少ないものの、単価を上げて入札しているためクリック率は切り分けていないリストと比較して高いと予測しました。
しかし、結果は切り分けていないリストの方がクリック率が高くなっています。
考えられるケースとしては、同じユーザーに何度も広告が表示されているため広告が表示されても反応しなくなっている可能性です。
CV数、CVR
最後にCV数、CVRですが、大きな変化はありません。
CVRはあくまで結果ですので考慮すべきはCV数ですが、切り分けていないリストでの成果数が多い理由を予測するに広告が表示されているユニークユーザーの数が要因になっているように感じました。
あくまで平均なので必ずしも一人あたりにこの回数表示されているわけではない事に留意しても切り分けたリストと切り分けていないリストでは大きな差があります。
切り分けていないリストの方が多くのユニークユーザーに広告配信がされていると考えるのが自然ではないでしょうか?
補足
今回の事例では結果から分析していますが、実際に施策を講じた時は「リストが大きい方が広告接触できるユニークユーザー数が増えるため成果に繋がるのではないか?」という想定が先です。
面白いもので、セオリー的な事の逆をやったら当たるなんて事も結構あります。
よりモチベーションの高いユーザーへの配信が成果増に繋がるというのはよく言われる事ではありますが、絶対に良くなるわけではありません。
セオリーどおりにやっていれば大丈夫なんて事は決してないのです。
まとめ
この記事で言いたい事はセオリーを踏襲しようとか、セオリー外のことをもっとやるべきだということが言いたいわけではありません。
様々な事例が世の中にありますが、単なる方法論として考えるべきではなく、それらがどうして成果に繋がったのかを予測し考えなければいけないのです。
誤解を恐れず言うのであれば、今回の記事と同じ境遇のアカウントがあったとして、全く同じ施策をしても上手くいきませんよ、という事です。
一応、世の中でセオリーと言われているものは比較的成功率が高いもののはずですので。
セオリー通りやるにしても、そこから外れるにしても結果を予測、想定し、何故そうなるのかを考えなければ成功しません。
付け加えるのであればセオリーと言われているものが何故成功率の高い方法なのかを理解していなければセオリーから外れる事は到底無理でしょう。