みなさん、こんにちは。運用者の黒川です。
4月ももう終わり、いよいよゴールデンウィークに入りますね。
新卒入社された方のなかでも、ぼちぼち研修が終わって配属が決まったり、OJTで既に教えてもらいながら仕事に入っている人もいらっしゃるのではないでしょうか?
私も、リスティング広告運用者としてカルテットに新卒入社した時を思い出すと、いろいろ覚えることが多くて大変だったな…と感じます。
仕事柄、Excelでの数値集計や資料作成を行うことが特に多いのですが、不慣れな部分もあって無駄に時間をかけてしまう…などなど
そこで今回は、新人の運用者の方で、使い慣れていないExcelでの作業に困っている方向けの記事を書いてみました。
※Excelは2019年4月25日現在のバージョンです。以降のバージョン変更によっては記事内の説明通りに操作できなくなる可能性もあります。
まず、Excelでなにするの?
Excelは表計算ソフトです。
リスティング広告運用者としては主に、数値の集計をExcelで行って、その結果を分析する、という業務を行われている方が多いと思います。
また、キーワード一覧など、一覧表をExcelで作成することも多いです。あとは、作成した集計・分析結果や一覧表を、クライアントに提出することもよくありますよね。
Excelの何で困っている人が多いだろう…?
私個人のイメージで決めてしまいますが、数値集計で苦労されている方をちょこちょこ見ます。そこで今回はリスティング広告運用で使える簡単な集計方法を紹介します。
複雑な数式でもなく、いろんな集計で使える汎用性が高い方法をまずは覚えていただければ…という内容です。
ケーススタディ
リスティング広告で良くある集計を例に紹介します!
※媒体からダウンロードできるcsvファイルを、集計するデータとして使用します。
※媒体は、Google広告を使用します。
ケース:広告文の結果集計
ケースとして、複数パターンの広告で数ヶ月配信していて、その結果を元に次の施策をうつ、という目的で広告文の結果集計を行うことって多いですよね。今回紹介するのはそんな時にだいたい使える方法です。順を追って説明していきます。
※ご存知の方もいらっしゃると思いますが、Google広告なら、ラベル設定で簡単に集計が可能になります。今回はExcelの使い方にフォーカスしたご紹介ですので、そこが気になる方は以下弊社過去記事をご参照下さい。
【Google AdWords】ラベル機能の活用でデータ集計時間を短縮【具体的な活用方法ご紹介】
データをダウンロードして整形
とりあえずGoogle広告の「広告」タブからデータをダウンロードして、集計に必要がない部分を削除したのが以下キャプチャのデータです。
集計する際は、不要な行や列は削除しましょう!見やすくなって作業しやすくなります!
列・行を削除するときに便利なのは、「Ctrl」+「-」です!列や行を選択して、「Ctrl」+「-」を押すと削除できます。
また、今回削除したのは、「表示回数が0の広告文」や、今回の集計に関係がない項目である「ビーコンURL」や「通貨コード」などなど…いろいろ消して、広告文章と数値データのみにデータを絞りました。
目的に合わせて集計方法を考える
例えば今回は、広告文のパターンがA・B・C・D・Eと5パターンあったとします。条件は以下になります。
・全広告グループで同一のA~Eのパターン
・広告見出し1がA~Eですべて異なる。
・Aパターンの広告見出し1は「A」、Bパターンの広告見出し1は「B」…というように、広告見出し1の文言はパターン名と同じだと設定します。
それらのクリック率を見たい!という場合にどう集計するか考えましょう!私からは、以下の2つの方法をご紹介します。
方法1:SUMIF関数で集計してみる
SUMIF関数とは、条件を指定して合計する計算式で、以下の計算式になります。
=SUMIF(範囲,検索条件,合計範囲)この数式だけ見ても、具体的な使い方はわからない方向けに、以下に細かな説明を記載します。
SUMIF関数を使う理由は、それぞれの広告見出し1ごとの表示回数・クリック数の合計を出すためです。その合計を使えば、クリック率が最終的に出せますね!
下キャプチャは、SUMIF関数で計算したときの結果を表しています。ここからさらに細かく説明していきます。
広告見出し1が「A」の広告文の表示回数を算出するための計算式は以下になります。
=SUMIF($B:$I,$R2,$H:$H)
※$のマークは、数式を固定するためのマークです。(絶対参照といいます。)「$B:$I」なら、コピーしたりしてもこの範囲から数式が動かないように固定されます。「$R2」なら、R列からは動かず、行は動きます。詳しい説明やショートカットキーは公式サポートページをご参照ください。
上記計算式を分解して説明します。
まず、抜き出したい範囲として、B列(広告見出し1が記載されている列)から、I列(クリック数が記載されている列)を設定したのが「$B:$I」です。
次に、その中から何を抜き出すか(検索条件)を設定するのが「$R2」です。
上記の場合は、「A」という見出し1を、「$B:$I」の中から抜き出してほしいので、「$R2」と記入しています。($R2と、R列のみ固定したのは、他のタイトル1の表示回数を出すためにコピーするからです。)
最後に、「$B:$I」の中に「$R2」がある場合の表示回数の合計を出すため、「$H:$H」を指定してEnterを押すと集計されます。そのまま下にコピーしていくと、B~Eのタイトル1の場合の表示回数も計算されます。
クリック数も同じように出せます。まずそのまま右の列に、上記数式をコピーします。
そのあと、表示回数の列である「$H:$H」をクリック数の列である「$I:$I」に変えて、「クリック数を合計してほしい!」という意味合いの数式に変更すればクリック数が出ます。
あとは、クリック率を出すために、「=S2/T2」(クリック数÷表示回数)を「U2」セルに記入すれば、上キャプチャのようにクリック率を算出できます!
方法2:フィルタ機能をうまく使って計算する
この方法も、パターンA~Eごとの表示回数・クリック数を出して、クリック率を算出しますが、数式はほとんど使わずに算出できます。まず、1行目を選択して「Ctrl」+「Shift」+Lを押すと、フィルタリングされます。
次に、広告見出し1のフィルタで、広告見出し1が「A」のものだけ選択します。そうすると以下キャプチャのようになります。
そして、表示回数の合計を出すために、「H734」セルにて、以下キャプチャ右上にある「オートSUM」をクリックすると、数式が自動で記入されます。
入力されたのは、「=SUBTOTAL(9,H2:H713)」という数式です。※SUBTOTAL関数は、いろんな集計ができる数式です。詳しくは公式サポートページをご参照下さい。
とりあえず、「オートSUM」を押せば、上記数式が記入されて、フィルタした広告見出し1が「A」の広告文の表示回数の合計が出ます!あとは同じことをクリック数のところでもやって、クリック率を計算すればAパターンのクリック率が算出できます。それを全パターンで行えば全部出ますね!
「SUMIF関数を使う方法」、「フィルタをうまく使う方法」のどちらを使うかは、データの前提条件や算出したい広告文パターンの数などで決めましょう!
正解はないので、そのときに一番早いと思われる方法を選ぶのがコツです!
ポイントのおさらい
集計を行うための根本的なポイントは以下の2つです。
・データを集計しやすいように整形する
・目的に合わせて集計方法を考える
特に、集計方法を事前に考えるのは大事です。作業途中で作業効率が悪い方法で進めていることに気づいて引き返せなくなることもしばしば…笑
また、よっぽど複雑な条件でなければ、基本的にはSUMIF関数(もしくはSUMIFS関数)とフィルタ機能でだいたい計算できちゃいます。
広告文の集計だけでなくても、例えば検索クエリデータから、一部文言を含むクエリ群のデータを抽出して見たいとき、などでも活用でき、汎用性が高いです。
まとめ
数ヶ月もExcelを使っていれば、知っていて当然の内容と思う方も多数いらっしゃると思います。逆に、上記とは全く異なる方法で集計されている方もいらっしゃるでしょう。
集計方法に正解はないので、結果的には集計完了すれば良いとは思います。
ただ、そのプロセスを改善すれば、もっと短時間で集計作業を終えられて、他のことに時間をかけれるのでどんどん効率化していきたいですね!
あと、行き詰まったり時間がかかり過ぎている気がしたら、検索したり先輩に相談すれば簡単に解決方法が出てくることも多いので、早めに自力で試すことをあきらめるのも大事だと思います…。
本記事を読んで頂いた新人の方が、リスティング広告運用という仕事に早めに慣れて頂ければ嬉しいなと思います!以上です!
補足
本記事で紹介した以外にも、例えば以下弊社過去記事で紹介しているピボットテーブルも便利ですね!こちらは視覚的・直感的にも扱えそうなので、エクセル初心者の方でもすぐに使いこなせるのではないかと思います。
【エクセル活用術】サクッと傾向分析したいときに使える関数&ピボットテーブル