リスティング広告でCV獲得をKPIとしているのであれば、CVが獲得できないキャンペーンは停止ないし抑制の対象となりがちですよね?
ただ、「CVが獲得できていないキャンペーンは無駄!」と短絡的な理由で停止をすると、かえってCVが獲得できなくなってしまうことがあります。何も考えず「CVが取れないキャンペーンだから停止!停止!」という対応をしていませんか?
本記事では、CVが獲得できないキャンペーンを停止して、かえってCVが獲得できなくなってしまった事例を紹介します。
ご覧頂ければ、CVの獲得できていないキャンペーンを停止することが、必ずしも正しいとは限らないことがわかります。
アカウント概要
はじめに、本記事で紹介するアカウントを記載します。
- 商材:食品関連ECサイト
- 配信媒体:AdWords(検索、リマーケティング)
- 運用方針:CV最大化
現状と実施した施策
現状
顕在層向けキャンペーン、商品名キャンペーン、屋号指名系キャンペーンを検索広告で配信しています。とりわけ、顕在層向けキャンペーン、商品名キャンペーンについては1ヶ月で予算を39,268円使用し、CVが0件でした。
★アカウント全体の数値
★顕在層向けキャンペーン、商品名キャンペーンのみ抜粋
実施した施策
CVが最も効率的に獲得できているリマーケティングに予算を寄せる施策を実施しました。
検索広告停止前後の配信データ
それでは、検索広告を停止した前後のデータを見てみます。
停止前/9月
顕在層向けキャンペーン、商品名キャンペーンでは1件もCVが獲得できていませんが、リマーケティングではCVが21件を獲得できています。CV獲得数は合計25件です。
停止後/10月
10月は予算が大幅に縮小されたため、指名キャンペーン、リマーケティングだけに絞って配信を行いました。
21件のCVが獲得できていたリマーケティングで、CVがたったの4件しか獲得できなくなってしまいました。CV獲得数は合計9件で、先月より16件減少しています。
CVが取れなくなった理由を考える
なぜ、CVが1件も獲得できていなかった検索広告を停止してから、急にリマーケティングでCVが取れなくなってしまったのでしょうか。
原因は、検索広告を停止したことで、リマーケティングリスト化されたユーザーの質が変わったことだと考えます。今回のケースでは、顕在層向けキャンペーン、商品名キャンペーンから流入したユーザーは、その場ではCVせずに、リマーケティング広告経由でCVしていたのでは?という仮説をたてました。
これらのキャンペーンを予算の都合上停止したことで、リマーケティングリスト化されたユーザーの質に影響を及ぼしたと結論づけました。
考察が正しいか確認するため、自然検索でのサイト流入数をチェック
実は今回のケースでは、リマーケティングリスト化の対象は広告経由の訪問者のみではなく、自然流入の訪問者も含まれています。
では、広告経由ではなく、自然検索ではどれくらいユーザーがサイトに流入しているのでしょうか?
Google Analyticsで1ヶ月の自然流入数を確認してみると…
今回停止した2キャンペーンでのクリック数は528(※ユニークユーザーではないですが)、一方自然流入は172セッション(※ユニークユーザーではないですが)、単純比較はできませんが、サイト全体で見た場合、広告経由でのユーザー流入が如何に大きな割合を占めていたかは明白ですよね。
これだけで断言はできませんが、検索広告を停止したことが、リマーケティングリストの内容に大きく影響を与えていそうですね。CVが獲得できなくなった要因はココにあるのでは?と考えています。
今後の運用方針について考察
自然検索でのユーザー流入は特に何の施策も検討していないので、急に増えるといったことは期待できません。そのため、検索広告で購入のモチベーションが高いユーザーを流入させることが重要です。そして、リマーケティングで効率的にCVが獲得できていることから、リマーケティングへ配信をすることも大切だと考えられます。
以上の考察から、「予算の3割をリマーケティングに割り当て、残り7割の予算でクリック単価をできるだけ抑え、検索広告を配信する」という方針に至りました。
まとめ
一見成果に繋がっていない配信も、実は裏では成果獲得に貢献していることがあります。
今回の事例では、CV0件の検索広告が、リマーケティングのCV獲得を補助していると考えています。
成果の悪いキャンペーンを停止するときは、「本当に無駄な配信なのか」をよく考えた上で、停止を行いたいですね。
特に、リマーケティング配信を組み合わせて行っている場合は、リマーケティングリストへの影響も十分に検討することをオススメしたいです。
追伸:AdWordsでは検索広告で獲得したCVの経路を確認することができます。
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