リスティング広告でキャンペーンの構成を考えるときに、皆さんは何を最初に考えますか?
私は、一番最初にターゲットユーザーがどんな人か考えることが多いです。そして、その人が検索しそうなキーワードを考えて・・・その人に刺さる広告文を考えて・・・といった順番に考えていきます。
パフォーマンスが良くないアカウントの分析時も、最初にサイトを見て、自分の中でターゲットユーザーを考えて、その人が検索しそうなキーワードが登録されているのか?狙い通りのキーワードに広告が表示されているのかを確認します。そもそもCVが思ったほど獲得できていないアカウントの多くは、ターゲットユーザーが検索しそうなキーワードに広告が配信されておらず、CVの可能性が低いキーワードにばかり費用が使われているため、CVが十分に獲得できない場合が多いように感じます。
今回はターゲットユーザーの見直しを行い、登録キーワードを調整した結果、成果が改善されたわかりやすい事例がございましたのでご紹介いたします。
事例紹介
今回の事例は、以下の様なお客様になります。
- 業種:ピザのネット販売
- リスティング広告配信の目的:オンラインストアでの購入者数の増加
- CV地点:オンラインストアでの購入
- 状況:他広告代理店に運用を依頼していたが、十分な成果が得られず、弊社に分析依頼をした。その後、弊社にて運用を行いました。
調整前の配信結果
まず、ターゲットユーザーの見直しと登録キーワードの調整を行う前の配信結果は以下の様になります。
CVは取れてはいますが、かかった費用と比べてみても思った以上に少ない印象でした。そこで、検索クエリを確認してみたところ、私の考えるターゲットユーザーが検索しそうなキーワードとはずれていると感じ、改めて、どんなユーザーがターゲットになり得る人なのか考えてみました。
ターゲットユーザーを考える
今回のお客様はピザのネット通販をされているので、最もCVに繋がりやすく、ターゲットとなりそうな人は、やはり「ピザ」を「ネット」で「購入」したいと考えている人で、これらのキーワードを使用して検索している人ですね。
次に、登録されていたキーワードと検索クエリを見てみます。
キーワードと検索クエリ
このアカウントに登録されていたキーワードを見てみると、以下の様なキーワードがメインで配信されていました。
- 「ピザ 有名」
- 「ピザ 通販」
- 「ピザ」
- 「ピザ 購入」 など
「ピザ 通販」は適切なキーワードと思われますが、「ピザ」単キーワード等が広告費を多く使用しており、「ピザ 通販」に十分予算が回っていませんでした。
これらのキーワードが部分一致で登録されていたので、それらが拡張して、ターゲットユーザーが検索しそうなキーワードとは異なったものまで配信されていそうです。
次に、検索クエリを確認しました。
検索クエリからも「ピザをネットで購入したい」という意欲が明確に読み取れるものは少ないように感じます。
一応、「ピザ 有名」と「チーズ ピザ お 取り寄せ」でCVを獲得しています。
「チーズ ピザ お 取り寄せ」に関しては、キーワードから「ピザをネットで購入したい」という意欲が読み取れますが、「ピザ 有名」はCVを獲得しているものの、そのような意欲は明確に読み取れません。
先ほどはターゲットユーザーから検索クエリを想定しましたが、逆に、上画像の中の検索クエリからユーザー像を想定してみます。
検索クエリ:「オーブン で ピザ」
- 想定ユーザー像1:オーブンを使ってピザを作りたい人
→作りたい人なので、ピザをネットで購入する可能性はない - 想定ユーザー像2:オーブンで焼いて食べるピザを購入したい人
→ピザをネットで購入する可能性もあるが、店頭で購入したい人も含まれている
検索クエリ:「東京 ピザ」
- 想定ユーザー像1:東京都内でピザを食べたい人
→ピザをネットで購入する可能性はない - 想定ユーザー像2:東京のピザ屋さんについて調べている人
→ピザをネットで購入する可能性はない - 想定ユーザー像3:東京のピザを取り寄せたいと思っている人
→ピザをネットで購入する可能性は高い
2つの検索クエリを例に出しました。
これらのキーワードで検索する人には「ピザをネットで購入したい人」も含まれていますが、そうでない人が大多数含まれていると考えれます。
広告費が潤沢にある広告主であれば、ブロード配信のような形で、ピザに関連するキーワードを検索する人に片っ端から広告を配信してCPAを度外視してCV数を増やすことも可能ですが、広告費に限りのある場合は、よりCVの可能性が高い人に広告を配信したいところです。
つまり、上記の検索クエリではCVの可能性が高い人にだけでなく、低い人にもかなりの広告が配信されているため、検索クエリから「ピザをネットで購入したい」という意欲が明確に読み取れるキーワードに広告を表示できるよう、登録してあるキーワードを見直す必要があります。
そこで、
そこで、登録キーワードを変えてみました。
登録キーワードを変えてみる
登録したキーワードは以下の様になります。
- 「ピザ 通販」
- 「ピザ お取り寄せ」
- 「ピザ ネット販売」 など
「楽天」や「Amazon」等の大手ECモールの屋号キーワードは、検索クエリに入っていることで「ピザをネットで購入したい人」と受け取ることはできますが、今回のお客様は自社ECサイトですので、登録する必要はないと考えました。
キーワードの調整前と、キーワードの調整後の配信結果が以下の様になります。
CV数やCPAは調整前に比べてかなり良くなりました。CPAはまだ高い印象ですが、キーワードを変えてここまで変わったので、ひとまずはいい調整だったと思います。
検索クエリは以下の様に変わりました。
調整後の検索クエリ
調整前に比べて「通販」「取り寄せ」などが増え、それぞれの検索クエリからも「ピザをネットで購入したい」意欲が読み取れるものが多くなっています。
キーワードの除外登録などは随時実施しているので、一時的に意図しない検索クエリにまで広告配信がされることもありますが、比較的狙い通りの検索クエリに広告が表示できるようになりました。
この調子で、キーワードの見直しを繰り返していけば、CPAはさらに改善できそうですね。
まとめ
検索連動型広告は検索クエリに合わせて広告を変えれる優れた広告ですが、ターゲットユーザーが検索するキーワード以外に広告を表示してしまってはせっかくの優れた機能も活かせません。
ターゲットユーザーに適切に広告配信できるようになってからが、リスティング運用の醍醐味だと思いますので、CVが獲得できずに悩まれている方は、まずはキーワードや検索クエリを一度見直してみてはいかがでしょうか?