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ディスプレイ広告を間接的に利用するケースでは運用方針が重要という話

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まだまだ暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回は運用方針の重要性を、ディスプレイ広告を利用して成果を伸ばした事例とともに紹介したいと思います。

運用方針の重要性

リスティングに於ける運用方針とはなんだろうかなと自分なりに考えてみるとおおまかには下記の3つなんじゃないかなと思います。(異論は認めます)

  • ターゲットユーザー
  • フロー(広告接触から成果までの経路)
  • KPI(方針が上手く運んでいるかを判断するための指標)

リスティングの運用に於いても、その他の広告と同様にペルソナや方針が必要だという事はご存知の通りかと思います。
しかし、リスティング広告ではなまじ数字がリアルタイムに見えてしまう事によって、改善策を管理画面の中に求めてしまいがちです。
当然それ自体が間違っているわけではないのですが、方針を明確にしておかないと在らぬ落とし穴に嵌ってしまう事もありますので方針を立てる事は重要だと考えています。

案件の概要

案件はスポーツジムで、会員登録が成果地点となります。
ヨガやエアロビクスなどスタジオで行うプログラムを利用しそうな女性をメインに集客したいという要望がありました。

案件の概要をまとめると以下の通りです。

  • BtoC商材
  • 1CVあたりの顧客単価は低いが継続性あり
  • 屋号からの成果が大半を占める
  • ニーズはそれなりにある
  • ターゲットは女性
  • 競合他社が非常に多い

これまでの運用状況

検索連動をメインで行っており、一般のキーワードでは単価が高くCVに至りにくいため抑制していました。
屋号キーワードでは成果に繋がっており、クリック率、CVRともに悪くないアカウントです。
過去に一度リマーケティングやディスプレイを行っていましたが、成果が伴わず停止していました。

目標はCV数の増加ではありますが、CPAがどれだけ高くなっても構わない訳ではありません。
上述した通り、「1CVあたりの顧客単価は低いが継続性あり」の商材です。
1CVの平均顧客単価は6,000円程度ですが、1年~1年半は継続するユーザーが多いという事でしたのでユーザーひとりあたりの売上はおおよそで90,000円程度ということでした。

3ヶ月で広告費は回収したいと思うとCPAの許容値は18,000円が限界です。
この数字もあくまで売上であり、利益で考えると広告費を回収するのはもっと先になります。
一般のキーワードでCVを取ろうとするとCPAが3万円~5万円となり、見合わなくなる事は今までの運用から明らかになっていました。
このCPAでは利益は出ません。
ディスプレイ広告も同じくCPAを悪化させてしまいます。

運用方針と施策

この商材、アカウントはニーズがあり、なおかつ屋号キーワードが強いという特性がありましたので屋号検索の数を増やす事でCV数を増加させられないかと考えました。
屋号の検索母数を増やすためにクリック単価の安いディスプレイ広告を利用したのですが、過去に失敗しているディスプレイ広告を再度実施したのは前回と今回で施策の意図が違うためです。

ターゲット

屋号は有名ですので完全に認知の無い人に対して認知施策を打つような方法ではあまり効果が無いのではないか?という前提の元、既に購買意欲(今回の場合は会員登録)の高いユーザーに対して広告を見せ、他社との比較検討の土俵に乗せるためのリマインダーとして使う事にしました。

  • 女性
  • 年齢層は指定しない
  • 購買意欲が高い
    →他社のサービスと比較検討段階にあるユーザー

フロー

購買意欲が高いユーザーを完全に切り分けて広告配信するのは現実的には難しいです。
ある程度セグメントするためにリマーケティングを利用してワンクッション挟んでみることにしました。

  1. ディスプレイ広告(インタレスト、シミラー)で確度の高そうなユーザーを誘導
    →それぞれフリークエンシーキャップを設定し、出来る限り確度の低いユーザーを除外
    →一度でも来訪したユーザーはインタレスト、シミラーの配信対象外に設定
  2. 絞ったユーザーをリマーケティングで更に絞り込む
    →他のディスプレイ広告よりフリークエンシーキャップを高めに設定し接触回数を増やす
    →リストの期間を14日間にしてそれ以降は他社でCVしたと想定し、追わない
  3. 残った確度の高いユーザーへの広告接触頻度が増し、検討候補に残る
  4. 購入のタイミングで屋号キーワードで検索しCVに至る

KPI

成果の指標は屋号キーワードでの表示回数増加です。
ディスプレイ広告キャンペーンでのクリック数やクリック率は良かろうが悪かろうが一切気にしないことにしました。
CV増加が目標ですが、方針の前提は「屋号キーワードでの表示回数(検索数)が増えれば自然とCVに繋がる」というものですので、屋号キワードの表示回数増加のみを追えば自然と結果が付いてくると考え、KPIを設定しています。

結果

以下は5月~7月の各キャンペーンの結果となります。

gazou

ディスプレイ広告の実施は6月半ばからとなっています。
見ていただきたいのは自社屋号キャンペーンの6月と7月の比較です。

まず、表示回数が5,000回ほど増えているのが確認頂けるかと思います。
同時にクリック数も増え、CV数も増加しました。
懸念していたCPAですが、施策実施前よりも悪化したものの許容範囲に収まっています。

考察

以前ディスプレイ広告を行った時はディスプレイ広告から直接コンバージョンを取ろうという方針、施策でしたが、今回は間接的に利用する事で検索連動広告からのCVを増やすという方針でした。

ダイレクトレスポンスを狙う場合、まずは出来る限り多くのユーザーを流入させる所から始まります。
そうすると取りこぼしを少なくするためにフリークエンシーキャップを多めに、或いは設定せずに配信しなければならなくなり、結果、コストが許容値を超えてしまいます。

今回のケースではフリークエンシーキャップを設定することで複数回表示されても反応を示さないユーザーを除外する事が出来ました。
リマーケティングを挟んだ事、リマーケティングでもフリークエンシーキャップを設定した事で二重に無駄を振るいに掛ける事が出来たことが結果的にCPAを想定より低く抑えられた要因だと考えています。

まとめ

今回は指名キーワードの検索数を増やすためにディスプレイ広告を間接的に使った事例を紹介させて頂きました。
もちろんですが、他のアカウントに対して同じことをしても同じような結果得られるとは限りません。
商材に対するニーズや、クライアントの知名度、過去の運用状況などから総合的に判断し、運用方針を立て、施策を実行したことによって得られた成果です。

間接効果を狙う場合でも、直接的な施策の場合でも同じくアカウント、商材、業界内でのクライアントの立ち位置など様々な情報を元に考えると運用の方針、方向性は見えてくるものです。
その方針に沿って施策を行う事で成果に繋がるのではないかと思います。

そして、立てた方針を途中でブラさない事が私は最も重要だと考えています。
たまたまディスプレイ広告でCVが1件ついた場合「もしかしたら入札単価を上げたら直接CVがもっと狙えるかも」という欲が出る事がありますよね?ありませんか?
しかし、本来の方針からズレて別の方針に浮気してしまうと酷い目に合います。
CVが取れて結果オーライならまだ良いのですが、CVが取れなかった場合には目も当てられません。

失敗からは学べる事があります。失敗したという情報も含め、次の施策に活かせるのです。
思い通りの結果が得られなかったとしても、この道筋では成果獲得に繋がらないという結果は得られます。
途中で方針をブラしてしまうと何故失敗したかが見えなくなってしまいます。
本当の失敗は改善に繋がらない施策をし続ける事です。

成功する施策しか出来ないのであれば、PDCAなんか回す理由はなくなってしまいますからね。

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