リスティング広告の運用者の皆様、こんにちは。
日々様々なアカウントを運用されているかと思います。
今回は実例を元に、具体的なアカウント分析の手順、考え方をまとめてみました。
以下、簡単な例ですがご確認頂ければと思います。
<目標を確認してみる>
まずはそのアカウントの目標設定を明確にしましょう。
目標を定めて、それに対する課題を抽出、改善施策、検証、という手順で進めていきます。
以下、今回のアカウントの事前情報です。
- 目標
CPA1,000円以内
- アカウント特性
- 当該キャンペーン内のKWはすべて完全一致とフレーズ一致で構成
- PC・タブレット・スマートフォンで配信
- 短期間(1~2日間隔)でCVが付く。
- 数週間程度の検討期間がある(後からCVが増える)
- リピーターが多い(総CVがユニークCVと比較して2倍程度)
- 時間帯制限なし
- 全国に配信
現在のアカウント状況は以下の通りです(2014/4)。
目標CPA1,000円に対して、割高になっていますね。
課題は、「CPA改善」となります。
<問題点を洗い出してみる>
CPA改善にあたって、アカウントの状況を分析して、問題点を明確にする必要があります。
では、1つずつみていきましょう。
□4月分析
- インプレッションシェア
・予算による損失が出ている。
⇒なぜ損失が出ているのか?さらに深堀りしてみましょう。
- 時間帯のインプレッションシェアを確認
・特定の時間帯に損失が増えていないか?
→予算不足による損失は出ているが、特定の時間帯に偏ってインプレッションが下がっているわけではない(一日均等に表示されている)。
・どの時間帯にCVが集まっているか
→夕方以降の夜間に集中している傾向あり
⇒夕方以降に予算を集中したほうがCVが伸びるのでは?
・特定のKWのインプレッションが下がってはいないか?
→キャンペーン内のKWを確認。後述。
- デバイス別のパフォーマンスを比較
・CPAはどうか?
→スマートフォンの方がPCよりもCPAが高い
・CVRはどうか?
→スマートフォンの方がPCよりもCVRが低い
⇒PCに予算を傾けた方が効果あり?
⇒スマートフォンの入札調整比率を下げる
- キーワードごとのパフォーマンス検証
・「A」KWは完全一致、フレーズ一致ともにCPA悪化要因
⇒入札抑制
・「B」KWは完全一致はCPA悪化要因だが、フレーズ一致はCPA良好
→完全一致に予算を使いすぎてフレーズ一致の配信量が抑えられている
→フレーズ一致は完全一致によるインプレッション損失が10%ある。ここも抑制余地あり
⇒完全一致は抑制・または停止。フレーズ一致には完全一致を除外
※インプレッションシェアはキャンペーン・広告グループ単位でしか確認出来ない
※キーワード単位での除外設定は出来ない(キャンペーン・広告グループ単位のみ)
→1広告グループ1キーワードにしておくと便利
・「D」KWは完全一致はCPA悪化要因、フレーズ一致はCPA若干割高
→完全一致は停止、フレーズ一致は完全一致を除外して入札抑制
・「E」KWは完全一致、フレーズ一致ともにCPA悪化要因
→停止
<洗いだした問題点から改善施策を行ってみる>
洗いだした問題点を元に改善施策を考えます。
今回は以下の施策を行いました。
- スマートフォンの入札調整比率を抑制
- CPA悪化要因となるKWの抑制・停止
- 時間帯による入札調整は保留
<施策実行後の結果を確認してみる>
前項の施策を行った結果を確認して検証を行います。
結果としては以下のようになりました。
□実施結果(5月)
- KWの比較
「B」KWのフレーズ一致に予算を集中出来たことで、クリックが伸びてCVが大幅に増加
予算圧迫要因となるKWの抑制もあり、CPAは約75%改善
- 時間帯別
時間帯別では、すべての時間帯で予算によるインプレッション損失がなくなっています。
- デバイス別
PCが大きく伸びています。スマートフォンはCVを維持しつつ、CPAが改善されていますね。
もう少し入札調整比率を下げても良さそうです。
- 月別比較
無事にCPAは目標値内に収まりました。
次の目標はCPAを維持したまま、CV増加を狙っていくことになります。
時間帯、曜日、エリア別の入札調整も検討みる価値がありそうです。
<まとめ>
アカウント分析を行うには、目標を明確にして、課題を抽出、施策、検証と一連の流れを行っていきます。
目標の優先順位が定まっていないと(CPA削減なのか、CV増加なのか等)、課題が複数混在して施策に一貫性がなくなってしまいます。
また課題に対して問題点を見つけるためには、一つ一つの要素を整理して分析することが大切です。
- 目標を明確にさせる
- アカウントの特性を理解して因果関係を見つける
分析の精度を高めていく上でリスティング広告の運用者に求められることではないでしょうか。