今回は事例紹介です。
事例
フレーズ一致、完全一致がほとんどという構成のアカウントです。
このアカウントはクリック単価が高く、CPAが高いまま推移していました。
これまでの施策
- 除外キーワード設定
昨年の12月から今年3月まで除外キーワード登録を中心に無駄クリックを省く施策を行っていましたが目に見える改善はありませんでした。 - クリックの無い、またはクリック率が著しく悪い広告グループの停止
4月に入り過去3ヶ月でインプレッションを発生させたもののクリックされていない、または全体のクリック率を悪化させている広告グループを停止しました。
フレーズ一致、完全一致で構成されている事、そもそも無駄なクリックを発生させるキーワードは除外済みある事から、それでもなおクリック率を悪化させるインプレッションを発生させる広告グループは切り捨てる事にしたのです。
この施策は基本的に表示の母数を減らす施策になります。
しかし、現在の表示母数の中にもニーズの濃淡はあるはずです。
わかりづらい図を作りましたのでご笑覧下さい。
図内での説明にあるように、ニーズの濃いユーザーを残し、ニーズの薄いユーザーを省いて行くことで広告効果が最大化されるという単純明快な考え方です。
ここまでの施策はニーズの濃淡を軸として出来るだけニーズの濃いユーザーを残そうという方針での施策だと言えます。
次の施策
既に無駄クリックやコストを発生させることのない無駄になると考えられるインプレッションは上述の通り省いています。
これ以上の成果を求める場合、無駄を削るだけでは改善されません。
ニーズの薄いユーザーもある程度除外できましたが実際問題、全てを省いてニーズの濃いユーザーだけにアプローチするのは現実的ではありません。
そこで次はクリック単価を軸に安くCVの取れるものだけを残す事にします。
フレーズ一致や部分一致はクエリを確認するとよく分かるとおもいますが、クエリによって平均CPCはまちまちです。
そこで、各キーワード毎のクエリを平均CPC降順で並べ替えてみました。
※下図は該当キーワードのクエリレポートを表にしたものです。
※広告グループ1にはキーワードがひとつしか入っておりませんので単一のキーワードのクエリです。
※また、とても縦長になったので途中省略している部分があります。
※上部の赤字部分は合算値となっています。
すると、ある一定のCPC周辺にCVが集中している事が分かりました。
当然、それ以上に高いCPCや安いCPCのクエリにもCVは付いていますが、該当のキーワードでは1,100円周辺にCVが集中している事が見て取れます。
このデータから、必要以上に高い単価のCVを切り捨てる事で効率的な配信になるのではないか、という想定が出来ます。
施策
実際に行うアクションは入札単価を落とす、なのですがどれくらいまで落とすのが妥当でしょうか?
上述の表のCVが集中している1,100円付近以上のものを省くとどうなるか、シミュレーションしてみましょう。
表の上部、合算値を見てもらうと分かりやすいのですが、CPAは大幅に削減されるのでは無いかと考えられます。
そこで今回は着地の平均CPCが最大で1,100円程度になるように入札単価を調整する事にします。
もちろん、あくまでこの段階では仮定に過ぎません、入札単価を落とす事により想定外の動きをする事も十分にありますが検証してみる価値は十分にあるのではないしょうか?
結果
下図の赤線以降大幅にCPAが改善されている事がわかると思います。
コストや平均CPCが想定通り抑制された結果、CPAが大幅に改善されました。
ただ、CV数自体が増えたのは誤算でした。
上図の表示機会損失率(予算)と表示機会損失率(広告ランク)を足していただくとわかりますが、4月の表示機械損失率が47.97%に比べて5月は35.94%と12.03%も表示機会が増えています。
もちろん、表示の母数自体も減っているため単純比較できるものではありませんが、全体の表示機会損失が減った事で効率的にユーザーへアプローチ出来た事がCV増加の要因だと考えられます。
まとめ
今回の例はあくまで一例であり、全てのアカウントで同じことをすれば同様の効果が見込める、というものではありません。
運用に於いて施策は幾つもあります。
幾つもの選択肢があるからこそ、ひとつひとつの案件ごとにデータを分析し、仮説を立てて検証していく事が必要になります。
しかし、分析、仮説の無い行き当たりばったりの施策は何故悪化したのかすら分からなくなる恐れすらあります。
その中で最善と思える施策を選べるようになるためにもしっかりとした分析、仮説は必要ですね。