運用者の方なら、一度は「このキーワードは主力だから入札価格を上げて上位表示させる」という施策を行ったことがあるのではないでしょうか。
この場合、
- 「掲載順位を上げる」→「クリック率が上がる」→「クリック数が増える」→「CVが増える」
- 「掲載順位を上げる」→「CVRが向上する」→「CVが増える」
という効果を狙った施策だと言えます。
しかし、CVRが向上しない場合はCPCが増えた分だけ、CPAが悪化してしまいます。
キーワードが部分一致であれば、不要な検索語句(クエリ)が増えてCVRが悪化する、なんてこともあるかもしれません。
今回は、掲載順位の高低でどの程度パフォーマンスに違いがあるのかを検証してみました。
■分割機能(上部VSその他)を利用してみる
AdWordsでは、「分割」機能を使うことで、簡単に確認することが出来ます。
ではやってみましょう。
「分割」→「上部VSその他」を選択します。
こんな感じになります。
- Google 検索: 上部 — Google 検索結果の上部(プレミアムポジション)に表示された広告の分類です。
- Google 検索: その他 — Google 検索結果で上部以外に表示された広告の分類です。
まず、すべてのキャンペーンにて、「ページ上部」では圧倒的にクリック率が高くなっています。
一方で、CVRで見ると、「キャンペーンA」「キャンペーンB」では「ページ上部」の方が、CVRが高くなっていますが、「キャンペーンC」では、「ページ上部」の方が「その他」よりもCVRが下がっていることが分かります。
実は、「キャンペーンA」「キャンペーンB」は商品名を主体としたキーワードで構成されているため、ページ上部に表示されていた方がユーザーが商品を探しやすく、結果としてCVRが上がっているものと思われます。
では、「キャンペーンC」では何が起こっているのでしょうか?
■広告グループ単位で見てみる
上記の通りになります。
完全一致、フレーズ一致、部分一致ともに、「ページ上部」の方がクリック率は圧倒的に高いです。
一方で、CVRはむしろ「ページ上部」でない方が高くなっていることが分かります。
「ページ上部」では無駄クリックが多く集まり、CVR低下に繋がっていると思われます。
また、ページ上部に表示させるために入札を上げたものの、クリック単価が高くなり、CPAの上昇要因となっています。
もう一つ気になるのが、完全一致でCVRが落ちている所です。
上部に出ていることで、購買意欲の低いユーザーが多く集まってしまい、CVR低下に繋がっていることが想定されます。
■まとめ
クライアント様から、「とにかくプレミアムポジションにあげてくれ!」と言われることもままあると思います。
しかし、実際には業界・商品・アカウントの特性によって、状況は大きく変わってきます。
安易に「このキーワードは上位に上げておこう」と考えずに、実際の掲載結果からパフォーマンスの良否を判断して、最適な施策を行うことが重要です。
自信を持ってクライアント様に方針を伝えて、納得感をもってお任せ頂けるようにするのが運用者の腕の見せ所ですね。