Amazon EchoやGoogle Homeなど、スマートスピーカーと呼ばれる「対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能」を持つスピーカーが登場して数年、今では様々な企業から独自の機能を付加して販売されています。
今回はこのスマートスピーカーを介した広告について調べてみました。
そもそもスマートスピーカーって何ができるの?
製品によって細かな機能差はありますが、主な機能としては下記の通り。
- 音声アシスタント機能によるWEB検索
- ネット接続と音声操作を活かした音楽再生
- IoTに対応した家電の音声操作
- ニュースや記事の読み上げ
アマゾンのCMなどでも、スマートスピーカーを通じてネット注文や音楽の再生するシーンなど、利用シーンについては目にした方も多いのでは?
スマートスピーカーの普及率は?
私もそうですが、「持ってないけど知っている」という方多いのではないでしょうか?実際、スマートスピーカーはどれほど普及しているのでしょうか?
昨年末に実施した電通デジタルの調査レポートでは国内でのスマートスピーカーの普及率は6%とのことです。ちなみに認知度は高く、認知率は76%もあるそうです。
一方で海外に目を向けると、米国ではAdobe調査によると「消費者の36%はスマートスピーカーを所有している」とのことです。日本はまだまだ普及が進んでいないようですね。
スマートスピーカーを介した広告の現状
スマートスピーカーならではの広告配信形態はまだまだ確立されていないようですが、Google Play Music,Spotifyなどに代表される音楽配信サービスや、ポッドキャスト・radikoなどのネットでのラジオサービス内での音声広告が配信されているようです。
スマートスピーカーでの音声広告の調査
前述した調査ですが、米国のシステムソフトウェア会社であるAdobe Systems Incorporatedは、TVやWEBなどの既存の広告に対して、音声広告の方が人々の興味を引きやすいといった調査レポートをリリースしております。
18歳以上の米国の消費者1,000人を対象に調査した「ボイスレポート(2019 Voice Report)」によると、25%の人はスマートスピーカーで音声広告を聞いたことがあると答え、その多くの人が問題ないと回答しました。実際、消費者の38%が、音声広告はテレビ、印刷物、オンライン、SNSの広告より押し付けがましくないと答えました。さらに、39%の人は音声広告は他のチャネルの広告より興味を引くと回答しています。
参照:https://blogs.adobe.com/japan/dx-mwc-adi-voice-report-2019/
この中でインサイト担当マネージャーのヴィヴェック パンドゥヤさんは下記のような考察をしております。
スマートスピーカー経由で聞くものはパーソナルでカスタマイズされたものであるため、パーソナライゼーションの度合いが高く、押し付けがましさが少なく、いっそう興味を引く広告にできる
国内でも音声広告配信の実証実験が実施された
昨年の7月から8月にかけて博報堂DYメディアパートナーズが下記のような実証実験を実施したとリリースされています。
下記のような所有者の音声操作の中で、音声広告を挟んでリコメンドするなどの実験を行い、音声広告配信ネットワークのマネタイズを含めた本格的な始動を目指すとのことです。
所有者「クルマのニュースを起動して」
スマートスピーカー「人とくるまのテクノロジー2018が開幕しました。・・・」
スマートスピーカー「のどが乾いたら〇〇飲料の新製品〇〇がオススメです」
スマートスピーカー「中国政府、自動車の関税を7月から引き下げへ・・・」
上記はプレスリリースでの広告イメージを引用しておりますが、クルマの情報の中に飲料水のPRが唐突に感じますが、スマートスピーカーが所有者の興味関心や行動などをより細かくパーソナライズ化されていたとすれば、所有者にとっては唐突感がなく聞こえるのかもしれませんね。
音声広告を提供しているサービス
現状、音声広告を出稿できるサービスとして下記をご紹介します。
Display&Video360(旧 DoubleClick Bid Manager)
GoogleではDisplay&Video360で音声広告が配信できます。オーディエンスキャンペーンというものを作成して配信できるようで、RTB広告枠で使用できるすべてのターゲティングタイプが設定可能です。掲載先はGoogle Play Music,Pandora、Spotify, SoundCloud、TuneInなどです。
公式:https://support.google.com/displayvideo/answer/7670534?hl=ja&ref_topic=7670433&visit_id=636997105355703382-4185200224&rd=1
Display&Video360については、弊社記事で過去に紹介されてますので下記を参照ください。
Display&Video360(旧DoubleClick)のご紹介と配信事例
radiko
先程もラジオサービスの1種として紹介しましたが、ラジオアプリの中で流れる音声広告です。
特徴としては以下。
『ラジコオーディオアド』は、番組単位でターゲットをセグメントする地上波ラジオ放送の広
告とは異なり、聴取番組に関係なくラジコリスナーの年代や性別といった属性でターゲットをセ
グメントすることが可能な広告モデルです。
まとめ
まだまだスマートスピーカーの音声広告は模索中といった印象ですが、無限の可能性を秘めているかもしれません。ラジオ広告も音声広告という点では同じですが、スマートスピーカーという媒体を介すことで、よりパーソナライズされたターゲティングが可能になったり、対話型であることでより所有者の要望にあった商品やサービスを届けられるなど、将来的には既存の広告媒体ではできなかったアプローチができるようになるのかもしれないですね。もし音声広告が普及してきたら、広告文の検討がセリフの検討や声色の設定など、運用の調整も様変わりしてしまうのでしょうか?
いずれにしても、スマートスピーカーの未来が楽しみですね。