こんにちは!日々進歩する検索事情に対応するため、社内の運用チームでは「興味深いクエリをシェアしてナレッジ共有を図る、そして楽しむ!」という習慣があるのですが…私はこの習慣好きです(^ω^)いつものように楽しんでいた流れから、ふと「そういうクエリに何か傾向を見出せないかなぁ~、見てみようかなぁ~」と興味が湧いたので見てみました。ネタ的な考察記事としてご覧ください!
とあるお金を借りる系の案件でのお話
そういうクエリって何?からご説明します。前提として、クライアント様はお金を貸すとある金融サービスを運営しており、借りたい人を集める配信をしています。そのなかで特徴的なのは「口語調のクエリが多いこと」でした。そういえば上述のシェアされてくるクエリも口語調のものが多いし、もしや音声検索の発達かな?と思い立ち…それにはどういう傾向があるのか?を単純な疑問ベースで調べてみました。
分析メインの記事ではないですが、前提条件としては
- 自動化を導入しているアカウント
- キャンペーン構成は、指名・一般KW顕在(ビッグワードはここ)・一般KW潜在(口語はここ)
という状況です。
音声検索だと思われる、口語調のクエリって?
音声検索だと思われるクエリの特徴
- 総じてクエリの文字数が多い(長い)
- 変なところで途切れていることもよくある
- 疑問形で終わることが多い
という特徴がありました。一言で言えば、口で話す時のような文字列、所謂「口語調」となっているということです。
口語(こうご)とは、普通の日常的な生活の中での会話で用いられる言葉遣いのことである。口語は人間の言語の基本となる形態である。「音声言語」という用語がこの意味で用いられることがある。
出典:Wikipedia
例えば、以下のようなクエリ(本件の実際のGoogleアカウントデータ準拠)が該当します。
「◯◯ 市 で 電話 で お金 を 借りる 場所 は あります か」
この場合、上の文章全体がイチ単語として見られているように感じますが、実は検索時のURLを見ると
という状況になっており、複数の単語が沢山組み合わさっています。何が言いたいかというと、クエリに表示されるときには単語認識されていそうな単位でスペースが入っており、それをそのまま検索した形で表すと、上のようになっているということです。
では実際の音声検索においては、どの文言をどう判断されているのか、等はイメージしにくいですが…少なくとも「ローン」のような、ひとつの単語とは認識されておらず「お金」や「借りる」あたりの明確な複数の語句から判断して広告表示させているように思います。
詳細は不明ながら、これによって参加するオークションも複雑化しそうですね!様々なトリガーワードから参加することになりますから、CPCもなんだか高くなりそうな気がするので、その辺りを見ていきたいと思います。
口語クエリはCPCが高い?
この仮説がどのようにデータに現れているのかを見てみました。
CPC高価ランキングTOP5
なるほど、まさにスマホに向かって想いをぶつけたようなクエリがラインナップされていますね…若き日の過ちを悔やみつつ、不安になったであろう気持ちがぶつけられています。そもそも18歳のときに街金からお金を借りる発想がすごいです…また、金融関係だけあって、だいぶ高いCPCですね。
CPC安価ランキングTOP5
リスティングの基本と言うべきか、口語調ではあるものの、概ね指名が絡むクエリが安価な傾向にあるようですね!!単価が雲泥の差となっております。
また、上記の金額が高いのか安いのかを比較するにあたり、所謂ビッグワード的クエリと比較してみます。
- 融資 ネット:¥625
- 貸付 ウェブ:¥612
- 借入 電話:¥598
その他、こういう系のクエリは概ね500~600円前後でした。口語クエリのワースト上位は非常にCPCが高い事がわかりますね。補足として、ビッグワード的なクエリよりも安価なクエリは全体の40%ほどで、残り60%程度はそれ以上の価格となっておりました。
なぜ高い?その他の特徴は?
実際に上記仮説のように口語クエリは一般ビッグワード系に比べてCPCが高くなっていたのですが、どのような動きをしていたかの特徴を挙げ、考えてみます。
オークション分析に、大企業の広告が出ていた
上述のように、色々なトリガーワードが複数絡み合ってオークションに参入しているためか、ビッグワードとは異なり、大企業さんの種別が異なる金融サービスの広告がオークション分析に出ていました。逆にビッグワードのほうでは、個人事業主も多いと思われる、アフィ系ランキングサイトばかりでした。※アカウント構成の詳細は割愛しますが、分けて見れる状況です
運用実態はそれぞれというのはあるものの、シンプルに大企業さんのほうが資金を多く持っていると考えられ、入札も高くする体力があるものだと思います。直接要因ではないかもしれませんが、CPCが高い一因になっていると思われます。
1インプレッション1クリック、下手すると2クリックの場合もあった
上図を見て頂くとわかりますように、口語クエリはCTR100%超のこともままあります。CPC高価TOPのクエリの方は、この方の緊急度合いもあったのか、連続クリックみたいな形になって200%になったのだと思います。
そもそも表示機会が少ないため、その少ないボリュームに対してオークションされる形となり、1インプレッション1クリックのような場面も多数出てきます。そのためにCPCが高くなるというのも一因として挙げられそうです。
あの「世帯収入」の項目にも変化があった
正直なところ、項目が追加されたとき、なんでそれが分かるんだろう…と半信半疑だった世帯収入。本ケースで気になってみてみたところ、違いが明確に出ていました。
これは、口語クエリのほうの世帯収入のデータです。
こちらが、一般ビッグワードのほうのデータ。明らかに違うのは、ビッグワードのほうは明確に下位50%が多い、という点です。金融サービスの方向性からいって、下位の層が多いというのはマッチしているのですが、ここで言いたいのはそこではなく「ビッグワードのほうが、システムも明確に判断出来ている」と考えられることです。
詳細は不明ながら、システムは様々なシグナルからユーザーを判断しているというなかで、不明が多い場合はシグナルが少なく信憑性に欠けるという判断になるかと思いますが、ビッグワードのほうは判断出来る基準が多く、データの信憑性が高い状況と推測されるため、導入している自動最適化もビッグワードのほうがうまくはたらき、CPCを安価にする一因になっているのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。あくまで1つの事例のイチ角度からみた話なので、嘘か真かみたいなところもあるかと思います。ですが、今回の記事で最も伝えたいのは、序文のところにも表れているとおり「面白そう、やってみようかなぁ~」という想いや、そこから考えを広げていく想像力を運用者は大切にすべきだなというところです。ふとしたキッカケで調査していくと思わぬ発見があることも多いですし…こういう考察を話のネタのひとつとしたり、ときには施策として真剣に議論しながら進めていったり、というのも運用の醍醐味ですよね!システムが急速に進化するなか、如何に運用者という人間の価値を出すかは、やはり想像力が重要だと思っています。そういうものを大事にして、日々運用に向き合っていきたいものですね!!