ついこの前新年を迎えたと思っていたらもう4月ですね。
弊社も新卒社員が入社して更に活気付いたように思います。
さて、本日は新卒の社員向けに広告の根本の話をしたいと思います。
広告配信の目的
世の中の会社が広告を配信する目的は何でしょうか?
この答えはいくつかあると思います。
自分たちの事を知ってもらいたい、商品を売りたい、資料請求をしてもらいたい、などです。
お金をかけて広告を配信する以上、広告主には何らかの目的があります。インハウス担当者であれば上司や経営層がその目的を持っています。
その目的を達成するために広告を利用しており、その達成のための具体的な数値目標として運用担当者に伝わります。
※注釈:本記事は中小企業向けです。年度末予算の使い切りなどのケースは一旦除外しています。
実は広告主と運用者で目的が違うかも
さて、その数値目標を達成すれば広告主の目的は果たされるのでしょうか?
代表的な目標としては「表示回数300万回以上」「CV数100件」「CPA10,000円以内」などです。が、ちょっと待ってください。
この言葉、そのまま受け取ってしまっても良いのでしょうか。
認知拡大の目的は認知を拡大して商品を売りやすくしたり、検討の土台に乗りやすくしたりするためです。CV獲得を最大化するのは売上を上げるためですし、CPAを指定するのは利益を上げたいからに他なりません。
つまり、表示回数がどれだけ増えて認知が拡大しても売上も利益も上がらなければ広告主の目的が果たされたとは言えないはずです。
運用者からすれば与えられた数値目標を達成すればひとまずの目的は達成ですが、広告主にとってはそれが売上や利益に繋がっていなければ目的は達成されていません。
当然、数値目標を達成すると売上や利益が上がるだろうという見込みで目標を設定しているためイコールになる事もありますが、そうならなかった場合はその数値目標自体を再設定して運用を続ける必要があります。
運用者の目的は数値目標を達成すること
代理店の運用担当者であっても、インハウスの担当者であっても運用者の目下の目的は数値目標を達成することです。CV数100件であれば管理画面上のCV数で100件の獲得のために方針を立てて、施策を実施するわけです。
そして月毎の報告で達成した、しなかったと一喜一憂するわけですが実は広告主は更にその先を見ています。
そのため数値目標を達成する事は運用者の目的ではありますが、運用段階のフェーズで数値目標は変わるため最終目的とは成り得ません。
では広告主と同じ視点(売上や利益)で考える必要があるのでしょうか。
個人的な意見ですが広告主と同じ視点を持つことは必要だと思います。
ただし、同じ視点に立って話をする必要は広告主によって違うとも思っています。社長さんや決裁者であればより深く売上や利益を把握していると思いますが、担当さんだとそこまで把握していない事も多いです。
視点は持っていたとしても相手に合わせて話をするかどうかは選ぶ必要性があるように感じています。
顧客のビジネスを理解しよう
では、売上や利益の視点を持つためにしないといけない事は何でしょうか。
それはビジネスの理解だと考えます。
どういったものをどのくらいの価格で売っていて誰が使うのかなどの商材理解はもちろんの事、利益率はどの程度なのか。資料請求や電話への誘導がCV地点となっている場合には受注までの転換率はどうなのか、どのくらいの期間で顧客の収益となるのか、何人が実際の作業にあたっているのかなど挙げればキリがないですが、こういった顧客のビジネスを理解することは非常に重要です。
例:顧客からの配信停止依頼
売上を重視している顧客がCV数の最大化を目的として広告を始めたとします。
CV数は思っていたより伸びて十分に貢献できたと思っていた所に顧客から電話が掛かってきました。
広告主「仕事は多くなったけど現場の作業者が足りてなくて回らないから広告をストップしてほしいんだけど」
運用担当「それは良かったです。現場が落ち着いて再開する際にはまたお声掛けください」※この例はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
一見、顧客の仕事が増えて忙しくなり儲かっているように見えます。
しかし、もうちょっと詳しくヒアリングしてみましょう。
もっと良くヒアリングしてみた
広告主「仕事は多くなったけど現場の作業者が足りてなくて回らないから広告をストップしてほしいんだけど」
運用担当「お仕事が増えたようで良かったです。どのくらい増えたんですか?」
広告主「件数は倍くらいまで伸びたね」
運用担当「そうなんですね。売上も同じくらい伸びてますか?」
広告主「売上も上がってるけどこっちは1.5倍くらいかな」※この例はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
売上自体は増えているものの件数に比例していない事が解りました。
という事は単価の安い仕事ばかりが増えているという事ですね。それで現場が回らなくなるほど件数を取ったという事はもしかすると利益はもっと伸びが悪いかもしれません。
それどころか単価の低い仕事に対応するために人を雇っていたら人件費を差し引いた利益は以前より悪い可能性すらあります。
件数だけ増やして利益が上がっていないのであれば、ただ顧客を忙しくしただけになってしまい目的が果たされていない事になります。
どういったユーザーからの仕事が顧客にとってプラスになるのかまで考えていく必要があり、それは顧客のビジネスを理解していないと難しいと思います。
まとめ
- 広告の目的は売上、利益を上げるため
- 数値目標と顧客の目的とはイコールではない
- 管理画面上のCVは売上や利益に繋がっているとは限らない
- 顧客のビジネスを理解しよう
新卒向けという事で今回の記事を書いたのですが、これは運用者が陥りがちな問題なんじゃないかなと思っています。
法人営業経験がある人などは普段からこの記事の内容は気に留めていることと思いますが運用ばかりがメインとなると管理画面上のCVのその先を考える機会が少なくなってしまいます。
広告主が広告を実施する目的は売上を上げて利益を増やすことに他なりません。
弊社はリスティングをメインに扱っていますが、何もリスティングに限った話ではなく広告全般に於いて言えることだと思います。
配信手法や最新のテクノロジーを使いこなすのも運用者のスキルのひとつではありますが、本当に必要なのは広告主の収益に貢献することです。
紙媒体にせよweb広告にせよ、広告に携わるもののひとりとして広告主の収益を上げることにプライドを持ってもらいたいと切に願っています。