先日社内で後輩Aくんから「お客様からクリック単価をもっと下げてと言われたんですが、そうすると表示回数が減ってしまうので下げたくないんですがどうすればいいでしょうか」と相談されました。
つっこみたい点はいくつもあるのですが、まずは状況整理のためにいくつか質問してみます。
アカウントに悪影響を与えかねない依頼…
私:クリック単価を下げてと言われて、結局なんて答えたの?
A:あまりよくないことはお伝えしたんですが、とにかく下げてと言われたのでやってみます、と。
私:なんでクリック単価を下げてってお客様は思ったのかな?
A:特に理由はおっしゃって無かったので…
私:最近パフォーマンスはどんな感じ?
A:一時期好調だったんですが、最近少し落ち込んできているようです。
私:ふむふむ。じゃあAくんは表示回数が減ると何が困るの?
A:えっ!?それは表示が減るとクリックも減って予算も消化できないし…
聞けば聞くほど陥りやすいあるあるケースな雰囲気が漂います。
リスティング広告の運用代行をしていると、お客様からの要望がアカウントに対して必ずしも良い影響を与えるとは限らないですよね。こんなケース、代理店や社内の運用者さんなら一度はご経験があるのではないでしょうか。
今日はこんな状況を打開する説明方法をご紹介します。
1.質問の意図を考える
まずは、お客様はどうしてクリック単価を下げて欲しいと依頼をしたのかをハッキリさせる必要があります。「え、クリック単価を下げて欲しいからじゃないの」とそのまま受け取ってはいけません。
私個人の経験から推測すると、お客様からクリック単価を下げて、とご連絡いただく場合は下記のようなお考えの場合があります。
- 第三者に高いと言われて気になった
- 自分で運用していたときよりクリック単価が高い
- 月次レポートで見ると高騰傾向にある
- 目標CPAが達成できていない
- なんとなく調子が悪そう
などなど、考えられる理由は様々です。
ここでポイントなのは、本当にクリック単価を下げて運用をして欲しいとお考えのケースは稀、ということです。多くの場合はなんとなく良くない気がしているから、理解しやすいクリック単価についてご指摘いただいているのです。
2.本当の問題点、要望を探り、ゴールを見つける
質問の意図を読み取ったら、次は「本当はどうして欲しいのか」を考える必要があります。ここで重要な事は、運用者や提案者としてのこちら側がやりたい施策や提案は一旦忘れて、とにかく相手がどうすると満足できるのかだけを考えましょう。
この問題点を共通認識ですり合わせできないと、どんなに正しいことをご提案したりお伝えしても、そもそもお客様が望んでいないことなのでご満足も納得もしてもらえません。
しっかりヒアリングを行った結果、今回のクリック単価を下げてというご依頼は、『なんとなく調子が悪いから不安になって連絡してみた』ということが分かりました。つまり、現在の状況をしっかりとお伝えして安心していただくことがゴールになるのです。
3.お客様の要望に対してシンプルに回答、提案する
課題を明確にしたら、それに対して最善の回答や提案を行います。
今回は安心していただくために、一時的にパフォーマンスが悪化してしまっている事実をお伝えし、それに対して運用面でできる施策をシンプルにご説明することが最善です。
求められていないのに難しい説明をしたり、だからクリック単価を下げてはいけない、等の説明は不要です。相手が求めていることをいかにシンプルにお伝えするかが、対応力のポイントです。
まとめ
今回のお客様へは、最近落ち込んでしまったパフォーマンスの原因が競合の都合である可能性があることをお伝えし、1ヶ月間お時間をいただき入札を強化して運用を行い、結果をご報告することになりました。クリック単価を下げて、というご連絡でも、信頼してお任せいただければ逆の施策が必要な場合でも納得してもらうことができます。
リスティング広告の運用をお任せいただくプロとして、お客様に満足していただけるような対応力も磨いていきたいですね。