運用者の皆さんが日々頭を悩ませているであろう、入札価格の調整。その中で、新規構築の際の入札価格にセオリーがあったら、素敵だと思いませんか?よくある「これをすれば稼げる錬金術!」みたいな形で・・・今回は、私が「セオリーは存在するのか?」について、体験談を交えてご紹介します。
そもそもセオリーとは?
まず、セオリーとは「理論、学説」といった意味合いがあります。入札に当てはめると、例えば「この業界であれば、この価格帯でこの調整なら問題ないだろう」というような「自分の中での理論」がセオリーにあたります。運用をしていれば同じ業界のクライアント様に出会うこともしばしばあり・・・そうなると、初期構築の段階では「過去実績」をベースに自然と考えていくと思います。が、しかし。そのセオリー・・・本当に正しいのでしょうか?
とある実体験の例を御覧下さい
初期段階での入札価格決定の基準は人によって様々だと思います。下記の図は「とある専門的な分野の業界」において、まず成功した例です。「デバイスがスマホに偏った傾向がある」という事がお判り頂けると思います。
ざっくり言うと、スマホである程度上位に出していればCVが安く獲得出来る。という感覚。こちらは初めて担当する業界で、フラットな状態から始めて手探りで見えた「1つの傾向」でした。
じゃあこれが「セオリー?」
上記のクライアント様を担当して数カ月後・・・
- 同業界
- 同業種
- 同配信エリア
- 双方スマホで最適化したLP
という、とても類似性の高い、別のクライアント様を担当させて頂くことに。前回成功していた私は「きっとあのセオリーが当てはまるに違いない!」とKw選出から入札価格、スマホ調整比率、それらをほぼ同内容にて調整。
しかも今回は、前回にも増して若者ウケしそうなLPデザイン。更に成功する可能性も高まりそうです。大きな期待を胸に、いざ配信開始しました。その結果・・・
「全くセオリーに当てはまらない結果」でした・・・スマホでもCVはついたものの、セオリーと真逆でPCの方がパフォーマンスが良く・・・CPAも大きな違いが・・・こちらに関しては、先のもののようなスマホである程度上位に出す、というよりも、PCメインでそこそこの位置に出す。という方が適している傾向に。目標CV数は達成したものの、想定した傾向と全く違いました。
※こちらはこの結果が分かった後、入札調整を無くした後の画像です。
そう、答えは至極単純なのですが・・・どれだけ類似性が高いといっても「結果はそれぞれに対し、違った形で出る。千差万別」ということ。実は初期構築段階で「CVがつきやすいキーワード」として過去実績より選出し、そこは外れていませんでした。そのため、このケースでは「キーワード選出方法」まではセオリーとして認めてイイと思いますが・・・その後の「入札バランスの調整」は、セオリーとは言えませんね。前回の例は、あくまでそのクライアント様のいち結果、だったんです。
まとめ
結論から申し上げますと「恐らく、セオリーは・・・あります!」ただ、多くの場合勘違いしてしまうのが「セオリー=既成概念やテンプレではなく、個々の裏付けを持った理論である」ということです。慣れてくると、ついつい「あー、あの時他の御客さんでああだったし、これでいいか」となってしまいがち。しかし、運用者は思考停止して型にはめ出すとアウト!なぜなら、同業種・同地域でも、そのお客様は固有だから。今回最も伝えたい部分は・・・「個々の状況をしっかりと分析して見据えながら、それぞれに適した入札調整をしていく」という、運用者として当たり前のことです。過去実績を傾向として取り入れたり、分析の1つの目線として考えるのは良いですが、履き違えて「とりあえずこうしておけばいい」とテンプレート化してはいけません。私達は考える力を持つ人間です。ロジック通り行動するマシーンではありません。真摯にアカウントと向き合いながら、状況を見極める目を持ちたいものですね。