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【リスティング広告】仮説に説得力を!統計データ利用のススメ

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こんにちは。毎年『深い男になる。』という目標を立てている今井です。
リスティング広告の運用を始めて2年半。日頃からロジカルに考え、仮説を立てる癖がつきました。どんどん深くなっています。
さて、運用者の皆さんは仮説を立てる時、どのように考えていますでしょうか?「なんとなくそう思う」「そんな流れがある気がする」と浅い思いつきだけで仮説を立てていませんか?もしそうでれば、その仮説は外れているかもしれません。

仮説は統計データを利用することで正確性が増し、説得力を高めることができます。仮説の説得力を高めることで、クライアント様に意見が通りやすくなり、「よく考えている運用者で安心できるな。」と感じて頂けると考えています。そこで今回は、統計データを利用して仮説の正確性、説得力を高める方法を紹介します。

深い運用者になりたい方は是非ご覧ください。

そもそも統計って?

集団の個々の構成要素の分布を調べ、その集団の属性を数量的に把握すること。
出典:コトバンク(デジタル大辞泉)

身近な例だと、平均寿命、自動車の平均燃費や平均残業時間などが統計データにあたります。

今回紹介する事例はコチラ

  • 業種:不動産(賃貸マンション)
  • 商圏:東京
  • ターゲット:18-24歳程度の若いユーザー(家賃が低い物件が多いため)
  • 配信目的:お問い合わせ獲得。月80件を目標としています。

3月はリスティング広告経由で問い合わせを100件獲得することができ、満足できる売上となりました。しかし、4月のリスティング広告経由の問い合わせは30%減の70件となり、売上も30%下がっています。売上を伸ばすべく、問い合わせが下がった原因を調査することになりました。

※リスティング広告の予算削減やキーワードの変更は行っておらず、問い合わせに繋がりにくいクエリの流入の増加はないものとします。

問い合わせが減少した仮説を立てる

「4月に入り、引越しのシーズンが終わった関係で需要が減り、問い合わせが減少した。」と仮説を立てました。4月から学校の授業、新社会人の勤務がスタートするので、3月中に大半の人が引越しを済ます結果、4月の引越し需要は減少する。と考えられるからです。

上記の仮説は正しそうですが、根拠となるデータがないと正確性、説得力に欠けますよね。「世の中にそんな流れがあるじゃないですか?だから多分正しいです。」と口で言っているだけでは、なんだか浅い運用者だなぁと思われてしまいます。そこで統計データの登場です。

※リスティング広告上で何かしら変化がある場合は、変化したことが原因で問い合わせの減少に繋がっている可能性があります。初めから外部要因にすることは考えが浅いです!

統計データを活用した仮説検証

仮説の正確性を高めるために、政府統計ポータルサイトe-Statから平成29年住民基本台帳人口移動報告の統計データを利用し、東京都の3月4月の人口移動数を比較してみます。4月の人口移動数が3月より減少していれば、引越しの需要が減少していると判断します。上記データは住民基本台帳に基づき、月々の国内における人口移動の状況を明らかにしている信憑性のあるデータです。


「東京都」の「他都道府県からの転入者数(総数)」「他都道府県への転出者数(総数)」3月と4月データを比較してみます。

  • 他都道府県からの転入者数(都内に引越してきた人):94,538人から60,944人に減少
    →減少率:35.53%
  • 他都道府県への転出者数(都外に引っ越す人):55,006人から47,317人に減少
    →減少率:13.98%

都外から都内に引っ越す人数が35.53%も減ってますね!4月の問い合わせ数が3月の30%減となった理由は、そもそも都内に引越しをするユーザーが35.53%減少していることが関係していそうです。

データを見ると、実は4月も引越しするユーザーは比較的多い時期であることがわかります。4月の引越し需要は3月と比較すると減少していますが、実は通常期の需要に戻りつつあるだけだと想定できますね。

更に年齢別に分析

より仮説の正確性を高めるために、減少率35.53%と変化の大きかった転入者数を更に細かく分析してみました。仮説は「4月から学校の授業、新社会人の勤務がスタートするので、3月中に大半の人が引越しを済ます結果、4月の引越し需要は減少する」です。
今回は住民基本台帳人口移動報告の3月と4月のデータを比較して仮説が正確か確認します。
15-19歳→学生、20-24歳→新社会人とみなし、比較してみました。
住民基本台帳人口移動報告 / 月報:3月
住民基本台帳人口移動報告 / 月報:4月 

  • 15-19歳の転入者数:9,176人から7,004人に減少
    →減少率:23.67%
  • 20-24歳の転入者数:37,728から14,408人に減少
    →減少率:61.81%

特に20-24歳の転入数が大きく減っています。ターゲットユーザーが若いユーザーであることから、引っ越しをする新社会人の減少と、問い合わせ減少は因果関係がありそうですね。

検索ボリュームの推移もチェック


Google Trendsの「賃貸」検索ボリュームも確認してみたところ、検索ボリュームは3月頭より徐々に右肩下がりになっています。引越しを検討するユーザーからの検索数も減少していると想定されます。引越し需要は減少傾向にあると考えられます。

所感

東京へ引越す15-19歳は最も多い時期で9,176人と思ったより少ないなと感じました。(東京都の大学生の人数は平成27年時点で74万人、約1.2%です。)
なぜだろうと考えた結果、上記人口移動のデータは住民基本台帳(住民票)が移動された人だけのデータだからではないかと想定しました。若年層が必ず住民票を移しているかは疑わしいです。

データの活用は正確性を増すためよいことではありますが、単一のデータを鵜呑みにしないということも重要です。今回の事例のように多角的にデータを見ることで、仮説の正確性を増していきます。上記データはあくまでも住民票を東京に移したユーザーだけのデータです。参考程度としておきましょう。

クライアント様へ報告

上記データを添えて、クライアント様に問い合わせが減少した理由は季節要因である可能性が高いことをお伝えした結果「引越しする人がそもそも減っていたら、問い合わせは減ってしまいますよね..」とご納得して頂けました。

ただ、何も改善策を打たないのは愚策ですので、需要が少ない時期に問い合わせ・売上を増やすために下記の施策をご提案しました。

  • 家賃割引きセールの実施
  • 来場特典をつける(交通費補助、クオカードなど)
  • 成約特典をつける(祝い金、商品プレゼントなど)

また、引越し需要が多い3,4月にどれだけ売上を上げるかで年間の売上は大きく変わると想定されます。3,4月に広告費を多くかける、物件数を増やすなどの売上を伸ばしやすい時期に注力する施策もありですね。

調査結果まとめ(平成29年3月~4月)

  • 他都道府県からの転入者数:94,538人から60,944人に減少
    →減少率:35.53%
  • 他都道府県への転出者数:55,006人から47,317人に減少
    →減少率:13.98%
  • 15-19歳の転入者数:9,176人から7,004人に減少
    →減少率:23.67%
  • 20-24歳の転入者数:37,728から14,408人に減少
    →減少率:61.81%
  • 検索ボリュームも右肩下がりで減少傾向

統計データサイトの紹介

統計データサイトの一部ご紹介します。今回の事例のように仮説の正確性・説得力を高めたい場合や、ターゲティング設定、ペルソナ作成の参考にするなど状況に応じて利用してみてください。

まとめ

今回は統計データを利用することで仮説の正確性・説得力を高めることができた事例を紹介しました。統計データを用いることで仮説の正確性は増し、説得力を高めることができます。なんとなくそうだろう。という浅い考えで運用するのではなく、データを元にして考えられる深い運用者になりたいですね!

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