リスティング広告の優れた特徴として、広告配信結果を全て数字で見れるという点があります。
数字が見れるので何が良くて何が悪いかも分かる。だから改善できる。
しかし、管理画面で見れる数字だけを見て運用をしてしまう(できてしまう)ことによる弊害もあるのではないでしょうか?
今日はそんなお話です。
管理画面のCVって本当に成果に繋がってるの?
ケース1:ECサイト
- 商品点数が100程度の小~中規模ECサイト
- 客単価は3000円程度
- 予算内でのCV最大化を目指す
運用担当のA君は管理画面で商品別にキーワードのCV数やCPAを細かくチェックしCV最大化のための最適化を行いました。結果、予算内でのCV獲得は1.5倍に増えました!
がしかし、クライアントから「売上が落ちた!」と厳しい一言を頂いてしまいました。
一体何が起きてしまったのか?
クライアントからよくよく話を聞いてみると、ECサイトで取り扱っている商品の価格帯はまちまちで平均客単価は3000円だけど、今回は単価の安い商品ばかりが売れてしまい当月だけで見ると平均客単価が1000円程度まで落ちてしまっていたという話です。
これではCVが1.5倍(3/2倍)になっても平均客単価が1/3になってしまっているので結局売上は1/2になってしまったということです。
ケース2:外壁塗装集客サイト
- 名古屋市+近郊を商圏とし、外壁塗装特化のLPで集客
- CVはフォーム動作だが直接電話による問い合わせもある(電話はクライアントが数をカウント)
- フォーム動作+電話件数最大化を目指す
運用担当のB君は競合ひしめき合う外壁塗装系KWのCPCの高さを懸念し、予算の一部をCVRはやや落ちるもののCPCが安いKWに寄せることにした。結果、管理画面上でのCVは微増しクライアントがカウントしている電話の数も微増した。
がしかし、クライアントから「売上が落ちた!」と厳しい一言を頂いてしまいました。
一体何が起きてしまったのか?
クライアントからよくよく話を聞いてみると、フォームからの問い合わせも電話の数も増え、意気揚々とクライアントが営業に出向いても受注が全くできなくなってしまったとのこと。クライアントが言うには「見積だけ求められて全然食いついてこない!やりづらい客ばかりだ!」とのこと。
実は、B君が予算を寄せたキーワード群はいわゆる専門用語系のもので、確かにCPCは安いが、そもそもその検索をする人はかなりリフォームの知識がある人たちだったのです。
そんな強者たちが相手では受注率も下がってしまうかもしれませんね・・・
結局どうすべきだったのか?
管理画面の数字だけを見て運用すると上記例のようなことが起きてしまいます。運用者のミッションは管理画面上の数字の最適化ではなく、クライアントの目的達成をリスティング広告を使って手助けするということです。
この目線を持っていれば、リスティング広告配信の結果を管理画面の数値で判断するのではなく、クライアントのリアルな反応を見ることの重要性を認識できるはずです。
「CVの付きがちょっと改善してますが、実際の売上には影響が出ていますか?」
「最近クエリの構成が変わってきているのですが、問い合わせしてくる客層の変化はありますか?」
など、クライアントビジネスにより深く突っ込んだコミュニケーションをとるべきでしたね。
まとめ
「コンバージョン値設定すりゃいいじゃん」とか「GAでeコマーストラッキング設定すりゃいいじゃん」とかテクニカルに解決するという話もあるのですが、今回言いたかったことはクライアントとのコミュニケーションの重要性です。
厳しい言い方をすると、我々運用者は管理画面上の数字を掲げてKPIを達成したとどれだけ言いはったところで、クライアントの目的が達成されなければ基本的に評価はされません。
真に必要とされ評価される運用者になるためには数字をコントロールするスキルや知識だけではなく、コミュニケーション能力も磨いていく必要があります。
そんな運用者目指して頑張っていきましょう!