前置き
日々の運用、お疲れ様です。
今回は、リスティング広告の【キーワード】と、うまく付き合う方法を考察してみた件と題して、 とある特殊な環境下において、リスティング広告の費用対効果(=CPA)を、 どうやって良くしていけばいいのか、をお伝えしたいと思います。
まず、本題に入る前に、例題として、りんごを、ネット上で販売しているクライアントがいたとします。
このクライアントの場合のリスティング広告で入稿するキーワードを、以下のように設定したとします。
- kw「りんご」 → 単体キーワード
- kw「りんご 通販」 → ユーザーのニーズとして、「りんごを買いたい」と思っている
- kw「りんご 比較」 → ユーザーのニーズとして、「どのりんごがいいのか、比較したい」と思っている
このようなキーワード構成であった場合、管理画面上のコンバージョン計測(=どれくらい、りんごを買ってもらっているのか)を 実施していた場合、費用対効果(=CPA)がいい順列としては、以下のようになるかと思います。
② → ③ → ①
これは、管理画面上で、コンバージョン計測している為に、運用でも、数値に従い、分析・運用すれば、 費用対効果としては、良くなると思います。
では、以下の様な状況(これが、今回の「特殊な環境下」となります)であった場合、 どのように運用すれば、費用対効果が良くなるでしょうか?
- 管理画面上で、正確な「コンバージョン計測」ができない。
- ①の「単体キーワード」からのクリック数の母数が、全体の40%を占めている。
- ①の「単体キーワード」からのクリック数が多数を占める為、そのキーワードからのアクション数(=つまり、コンバージョン。 今回の事例では、「問合せ」)が多いと想定される。
先に結論から申し上げると、「単体キーワードの入札金額を抑制する」だけです。
では、事例に入ります。
事例
今回の事例のクライアントは、先にもお伝えしましたように、管理画面上で、コンバージョン計測ができず、 さらに、追加情報として、「問合せ」が最終目的ではなく、問合せからの「契約」が最終目的であり、 「契約」にならないと、クライアントのビジネス上では、売上に繋がりません。
その為、リスティング広告の運用では、この「契約」「契約単価」が、指標上、非常に重要なものとなります。
以下、実際に「単体キーワードの入札金額を抑制した」前後4日間の比較データとなります。
画像中、備考において、「単体キーワードの入札金額の抑制を実施」と記載していますが、 このタイミングで、入札金額の抑制を実施しています。
抑制した前後のデータ推移として、以下のように変化しています(データは、「調整前4日間」「調整後4日間」を参照)。
●広告表示回数
前:110,415回
後:80,074回
結果:減少
※理由:単体キーワードの入札金額を抑制したことにより、影響
●クリック数
前:374回
後:321回
結果:減少
※理由:単体キーワードの入札金額を抑制したことにより、影響
●ご利用金額
前:81,410円
後:56,989円
結果:減少
※理由:単体キーワードの入札金額を抑制したことにより、クリック数が減少した為
●問合せ数
前:16件
後:14件
結果:減少
※理由:単体キーワードの入札金額を抑制により、他のキーワードからのクリック数と問合せが補完したと想定
●契約数
前:3件
後:3件
結果:横ばい
※問合せ数の補完できていた為と想定
●問合せ単価
前:5,088円
後:4,071円
結果:低下
※ご利用金額の減少、及び一定の問合せ数を補完できていた為と想定
●契約単価
前:27,137円
後:18,996円
結果:低下
※ご利用金額の減少、及び一定の問合せ数を補完できていた為と想定
以上のように、単体キーワードの入札金額の抑制という1つの調整だけで、ここまで、数値が改善された結果となっています。
おそらく、各キーワードの入札金額のバランスにより、単体キーワードにクリック数が集まってしまった結果、 他のキーワード、例えば、冒頭の例でいうところの「りんご 通販」のようなアクションを促すキーワードも、 部分一致の拡張等によって、のべつ幕なしに、広告表示を広げすぎてしまった為と考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の事例は、「入札金額の抑制」という改善策だけでしたので、それほど難しいものではありません。
ただ、現実問題、こういった「シンプルな施策」が、最良の一手であることも、ままある為、 運用しながら、「こうやって、調整をしたら、こういう風に、データが変化するのではないか」という、 着想を深めていける事例となればと思います。