KindleやiPadなどのタブレット端末の登場を契機に、電子書籍が世間の注目を集めています。もちろん紙には紙の良さがありますので、世の中の本がすべて電子書籍になればいいとは思いませんが、それでもやはり本を電子化すると色々と嬉しいことがあるのは事実だと思います。
ただ、世間の動向を見ていても、電子書籍のマーケットが本格化するにはどうやらまだ時間がかかりそうです。そこで、自分の蔵書を自分で裁断・スキャンして電子書籍化してしまおうという動きが数年前から活発化してきています。いわゆる電子書籍の「自炊」と呼ばれるものです。
「自炊」するメリットって?
蔵書を電子化するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 電子書籍は「場所を取らない!」
- 電子書籍は「検索できる!」
- 電子書籍は「クラウド化できる!」
電子書籍は「場所を取らない!」
蔵書をすべて電子データ化してしまうわけですから、当然、置き場所としての空間を必要としません。
読み終えた本を捨てたり売ったりせずに本棚に保管しておく理由は、多くの場合「あとで読み返したいから」ではないかと思います。 では、実際に読み終えた本を再度読み返すことってどれぐらいありますか? おそらく多くの方が「そう言われると、ほとんど読み返さないかも…」という感じではないでしょうか。
ほとんど読み返さない本のために貴重な居住スペースを費やすのはもったいないことだと思いませんか?家賃の坪単価よりもHDDのスペースのほうが遥かに安いのです。
電子書籍は「検索できる!」
自炊した電子書籍は、OCR(Optical Character Recognition=光学文字認識)をすることで文字をテキストデータ化することが出来ます。つまり、本の文章を検索できるようになるわけです。
紙の本にはパラパラと流し読みが出来たり手書きでメモが書き込めたりといったメリットがありますが、こと読み終えた本に関しては、この「検索できる」という電子化のメリットはかなりのインパクトを持っています。 「以前読んだ本のどこかにこんなことが書いてあったんだけど、どの本のどこだっけ?」なんていう時に、本棚の本を手当たり次第パラパラとめくって探した経験はありませんか? 電子化した蔵書であれば、パソコンの全文検索機能(Google DesktopやSpotlightなど)を使ってキーワードを検索すれば一瞬で見つけることが出来ます。
電子書籍は「クラウド化できる!」
さらに、電子書籍化した蔵書をDropboxなどのクラウドストレージに置いておけば、いつでもどこにいても閲覧することが出来ます。
そうなればもはや、何百冊・何千冊という本を常に持ち歩いているようなものです。
持ち歩けることでどんなメリットがあるかは人によりけりかも知れませんが、紙の本では間違いなく出来ないことですから、まさに電子データならではのメリットと言えます。
「自炊」ってどうやるの?
さて、その「自炊」ですが、具体的にどうすればいいのでしょうか。 必要なものは以下の2つです。
- 裁断機
- ドキュメントスキャナ
手順としては、裁断機で本を裁断し、それをドキュメントスキャナと呼ばれる自動給紙式のスキャナで一気にPDF化します。
裁断機について
裁断機には大きく分けて「直刃式」と「ディスクカッター式」の2種類があります。
それぞれの特徴としては、
直刃式:値段が高い(3万円ぐらい)、大きくて重い、本一冊ぐらいなら一度に切れる ディスクカッター式:値段が手頃(1万円ぐらい)、小さくて軽い、一度に裁断できる枚数が少なく、本であればまずカッターで4〜5分割する必要がある
という感じです。
私個人としては、裁断の頻度と収納スペースのことを考えて、ディスクカッター式のものを使っています。自炊ユーザーたちの間では、直刃式ならプラス裁断機のPK-513L、ディスクカッター式ならカール事務器のDC-210Nという機種が人気です。(私もDC-210Nを使っています。)
ドキュメントスキャナについて
ドキュメントスキャナについては、ほとんどの自炊ユーザーが富士通のScanSnap S1500という機種を使っています。コンパクトでスキャニングも早く、OCR機能も付いているのでこれ一台あれば他には何も要りません。値段は3万〜4万円ほどしますが、個人的には、得られる恩恵を考えれば決して高くはないと感じています。
実を言えば、ここでトピックスを書く時も、よく蔵書の自炊データを検索して参考にしながら書いたりしています。皆さんも興味があれば是非お試しください♪
※書籍の裁断・スキャンによる電子化は、自身が所有しているものなら問題ありませんが、他人のものを代行でスキャンしたりすると法律的にグレーになってきます。十分にご注意ください。 本記事は「自炊」という行為とそのメリットについてご紹介しているだけのものであり、弊社のサービスとしてスキャンの代行などは実施しておりません。