今回は、素朴な疑問シリーズより、自社名での出稿について触れたいと思います。今更なぜこの話題・・・というところですが、とあるお客様から「SEOで1位だし、出す意味を感じられないから停止したい」というご連絡を頂いた事が、真剣に考えるキッカケでした。
自身としては、自社名のような所謂「指名系Kw」はパフォーマンスが良い事が多いため、そもそも出さないことを考えておらず、大きな衝撃でした。
また、弊社過去記事にも一部触れているものがありましたが、運用目線でそこだけにフォーカスしたものがなかったことも理由です。さて、私なりの考察を早速御覧ください。
自社名で「広告を出す」ことと「SEOで出ている」ことの違い
まずは単純なところから・・・広告で出ていることと、SEOで出ていることの違い。以下例を御覧ください。
まず、単純に場所が全然違う事がお判り頂けると思います。ファーストビューの最上位表示はやはり視覚的効果が高いと感じます。更にこれはPCでの結果。スマホでは更にこの差が顕著になりますね。
そして、想像以上に他社が沢山出稿していることがわかります。
カルテットという言葉の拡張でしょうか、女子十二楽坊的な同業ではないところも挙がっていますが、これが同業だったとしたら・・・
カルテットを探すつもりが、たまたま上位にいた他社へ流れてもおかしくはありません。また、弊社は名前が珍しい方で、明確に同名他社が存在せず参考にしづらいですが・・例えば以下のケース。
今回の記事のキッカケとなったお客様を実際に検索したときのものです。※一度停止した時の画像。実際のお客様の為、加工大量で見づらくすみません・・・
これだけの同名他社がおり、しかも類似業種の同名他社も存在。この状況、少し危険だと思いませんか?これを見た上で私は、お客様へ改めて自社名出稿を提案することにしました。
しかしながら、ファーストビューの話と他社がいるだけでは具体的な問題が見えづらい。そこで更に調べてみると、そこには驚愕の事実がありました・・・
自社名を出す具体的なメリットとは
「他キーワードに比較して、CPC・CPAが安く、CV率が高い」指名系Kwの一般的特徴です。これだけで運用者的には入れる価値がありますが・・・
提案しご納得頂くためには、それ以外にも客観性のある具体的な根拠が必要です。そこで色々と調査した結果、以下の特徴も挙がってきました。
- ユーザーが目にする最初の情報をコントロール出来る
【狙った広告文で上位表示出来る】【狙ったリンク先を見せていくことが出来る】 - ページ検索結果の占有
【同名他社等に囚われず、入り口を増やし安全な獲得が出来る】 - SEOと違って意図的に上位表示出来る
【検索結果の順位決定ロジックが変わっても関係ない】 - 自社を認知させられる
【逆の目線で、仮に他社目的で他社名検索しているユーザーがいても、自社を認知させる事が出来る】 - 雑誌やチラシ広告等、リアルプロモーションの検証
【社名を掲載した純広告等、他媒体で行った効果が指名検索の増加という形で表れやすいため、IMPやCVの増加時期等と出稿タイミングを照らし合わせれば、CV計測が困難な他媒体の効果検証も間接的にではあるものの、可能】
諸々の情報を精査し、自分としてはこの辺りが分かり易いメリットと感じました。また、提案のキモとなったGoogleが公式発表した、具体的な数値がある記事も発見。
- 81% of ad impressions and 66% of ad clicks occur in the absence of an associated organic result on the first page of search results. All ad clicks in these situations are incremental.
- On average, for advertisers who appear in the top rank organic slot, 50% of ad clicks are incremental. This means that half of all ad clicks are not replaced by organic clicks when search ads are paused.
「検索連動型広告の表示回数の81%、クリック回数の66%は【自然検索だけでは獲得できない】もの」であり「対象サイトが自然検索で1位のとき、検索連動型広告のクリックによる純増分は50%ある」 出典元:Inside AdWords
更に咀嚼しますと「SEOで1位だとしても、リスティングを停止したら、表示回数は広告掲出時に比べ19%程度しか出ず、クリックは34%程度まで下がり」結果として「クリックから流入してくるはずの見込ユーザーを50%も落とす形になる」ということです。
非常にコスパの良い自社名を停止するだけで、2分の1の確率で失客しているなんて・・・考えるだけでも恐ろしいですね。
参考実例/自社名キーワードは防衛策+良コスパ
単純に表示される位置が上位だし、ユーザーの印象も違うはず!!という感覚だけの部分から、調査によって多数の具体的な根拠が出てきました。中でもGoogle自身がまとめている数値入りの記事が衝撃的ですよね!!それに加え、お客様への提案の際には下記画像も使用しました。
掲載期間約6ヶ月で、このコスパの良さ。ノウハウに関わる実際の数値につき入札価格等は加工していますが、CVあたりの利益金額が非常に大きい、CPCが高い業界。通常、メインキーワードのCPAは15,000円~20,000円程度です。
※参考までに、最もCVの取れるKwで上位に出すには入札500円~
そこに対して自社名は、僅か「19円」のCPCなのです。前述の理由に加えて、結果としても実際に無駄でない内容。本当に大事なのは無駄に思えるという感覚よりも、揺るがぬ事実の方ですよね。投資に対するリターンがちゃんとあれば、それは無駄ではなく価値あることかなという見解です。
弊社の場合も、広告運用会社なので自社の広告運用をしておりますが、競合が弊社名に出稿しているケースもありますし、そうでなくてもSEO検索上位の場合、システム的に一般語句が自社名とイコール化して、拡張するケースがあります。これも意図せず競合に見込み顧客をとられやすくなる要因になり得ます。
例:競合他社さんは「リスティング広告」しかキーワード入札していないのに「カルテットコミュニケーションズ」がシステム的にリスティング広告と同義とみなされ、他社広告が表示されてしまう、というケース
この状況で自社名を出稿しない場合、他社の広告に上位を独占されることになります。結果としてお客様にもご納得頂けましたし、記事をご覧になった方も、1つの見解として頭の片隅において頂けますと幸いです。
まとめ
リスティング広告は、広告としては珍しい、詳細なデータで勝負出来る媒体。感覚だけで無駄だと決めつけず、しっかりと考察した上で、意味のある行動を起こしたいものですね!