Yahoo!広告とLINEヤフー株式会社では、広告で収集した個人の情報をマーケティングで活用する際に「広告データ利用基準」を定めています。
配信された広告を見た人が不快な気持ちになったり、プライバシーを侵害してしまったりしては広告の意味がありません。
そこで今回は、個人に関するデータの扱いや、どのような活用シーンにおいて慎重になるべきかを解説します。
特に慎重に扱わなくてはいけないデータとは
収集したユーザー情報の中でも特に慎重に取り扱わなくてはならないのが、プライバシー侵害のリスクがあるデータです。
その情報を持つユーザーが不快に感じるかもしれないデータについては、「慎重に扱うべき個人に関するデータ」として定義されています。
「慎重に扱うべき個人に関するデータ」は、具体的に以下の5つです。
- アイデンティティ、信条
- 個人の苦難、苦しみ、悩み
- 知られたくない私生活
- 法的、文化的に守るべきとされている事柄
- LINEヤフー株式会社が禁止する事柄
また、これらのデータは法的、文化的、社会的にユーザーを守らなくてはいけないものも含まれています。
配慮が必要なデータで禁止されていること
個人が平和に暮らしていくためには、そのプライバシーは守られなくてはいけません。
情報社会と言われる昨今では社会全体もプライバシー保護の意識を高めています。
自身のデータを活用されたユーザーが不快な気持ちになることや嫌な経験をしてしまうと、世間でのデータ活用についての目はより厳しくなってしまうでしょう。
そのため広告データ利用基準では、「慎重に扱うべき個人に関するデータ」を利用してのターゲティングを
- ユーザーのプライバシーに影響を与える
- 安全性を妨げる可能性がある
といった観点から禁止としています。
また、個人に関するデータを使って以下の条件に合致するユーザーを見つけることも禁止しています。
禁止されているターゲティング・データ例
項目 | 具体例 | |
---|---|---|
(1) アイデンティティ、信条 | 性的指向 | レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル |
トランスジェンダー | 性別違和、性転換 | |
宗教、信条 | 宗教、信仰、思想、政党 | |
人種、民族、門地 | 人種、民族、家柄 | |
労働組合への加入、労働運動への参加 | 労働組合、労働運動 | |
(2) 個人の苦難、苦しみ、悩み | 経済的貧困、困窮 | 債務整理、自己破産、過払い、未納、生活保護、ホームレス、低年収 |
犯罪歴、犯罪被害 | 犯罪、犯罪被害、事件、前科 | |
健康状態、検査結果(病気、障がい、治療、関連サービス) | 病名、症状、菌、ウイルス、処方薬、成分、病院、障がい、遺伝子検査結果 | |
災害被害 | 災害、被災者、生活再建支援 | |
(3) 知られたくない私生活 | 人間関係 | 離婚、死別、いじめ、虐待、介護、家庭内暴力、引きこもり |
性生活、性的嗜好 | 性生活、性風俗、アダルトコンテンツ、性癖 | |
(4) 法的、文化的に守るべきとされている事柄 | 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の制限 | -(詳細はこちらをご参照ください) |
(5) 当社が禁止する事柄 | 禁止するデータは上記の限りではなく、ユーザーの安全性確保、広告主のブランド保護のために当社が不適切だと判断したデータ |
たとえば、家族が大病を患ったため、インターネットでその病気や治療方法などについての情報を収集したことがある方。
その後病気は快方に向かい平穏な日々に戻ってきたのに、これまで見たことのなかった保険の広告や、過去検索した家族の病気に関係していると思われる広告が表示されるようになったら、広告を見るたびに当時の不安な気持ちを思い出してしまいますよね。
こちらは上で挙げた規定の【(2)個人の苦難、苦しみ、悩み(健康状態、検査結果)】に該当しており、ターゲティングに活用することが禁止されています。
まとめ
ユーザーにとって興味や関心の強い広告を配信できるため、本来であればユーザーにも広告主にもメリットの多いターゲティング広告ですが、使い方を間違えるとマイナスの影響が出るおそれも。
「慎重に扱うべき個人に関するデータ」を利用した広告を目にしたユーザーは、そのような広告を配信した広告主に対しても不信感を持ってしまい、サービスや商品を忌避してしまう可能性もあります。
このような事態を防ぐために、Yahoo!広告では明確に利用基準を設けたうえで、「慎重に扱うべき個人に関するデータ」を使用したターゲティングを禁止しています。
ユーザーと広告主、双方の安全と快適性を守るためにも、データの活用は慎重に行っていくべきですね。