Googleアナリティクス4(GA4)のデータに基づいた分析をしていると、「年間データと月別データの合計が一致しない」、「過去のレポートを確認するたびに数値が異なる」といった現象にとまどうことも多いのではないでしょうか。
これらの現象は、GA4の機能「サンプリング」によるものかもしれません。
本記事では、GA4のサンプリングの仕組みや確認方法、回避方法を解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
サンプリングの仕組み
GA4における「サンプリング」とは、膨大なデータを効率よく処理するために、すべてのデータを分析するのではなく、一部を抽出して分析する手法です。
たとえば、大都市の交通量調査を正確に把握するには、すべての道路、すべての時間帯で車両をカウントする必要があります。
しかし、この手法は現実的ではないため、GA4は特定の時間帯や場所を選び、そこから都市全体の交通傾向を推測します。
GA4では、イベント数やセッション数などのデータ量が一定の基準を超えると自動的にサンプリングが適用される仕様です。
標準版GA4プロパティでは、クエリごとに1,000万件イベントという基準値が設定されています。
また、サンプリングが発生しやすい状況としては、1年間など長期間データをまとめて分析する場合や、複数の条件を組み合わせた複雑なセグメントを利用する場合、多くのディメンションやフィルタを同時に使用する場合などが挙げられます。
サンプリングの適用状況を確認する方法
サンプリングの適用状況を確認する方法は、次の通りです。
- GA4のレポート画面右上に表示される通知アイコン「!」をクリックする
- 「サンプリングデータ」や「サンプリング率(○○%)」といった表示が確認できる
サンプリング率が100%に近いほど、より多くのデータが分析に使用されているため、レポートの精度は高くなります。
一方、サンプリング率が低い場合は、分析結果の信頼性が低下し、ばらつきが大きくなる可能性があることを念頭に置く必要があります。
サンプリングの回避方法
サンプリングの影響を軽減し、より正確なデータ分析をしたい場合は、以下の方法が効果的です。
- 分析期間を短くする
- 不要な項目を削減する
- BigQueryにエクスポートする
それぞれ解説します。
分析期間を短くする
1つ目は、分析期間を短くして、一度に処理するデータ量を減らす方法です。
たとえば、1年間のデータを一括で分析するのではなく、四半期や月単位に分けてレポートを生成し、後から手動で集計します。
各期間のデータ量が基準を下回れば、サンプリングなしの正確なデータが得られます。
不要な項目を削減する
2つ目は、不要な項目を削減する方法です。
分析に必要なディメンションやメトリクスだけを使用することで、クエリの複雑さを軽減できます。
複数のセグメントやディメンションを同時に使用するとサンプリングが発生しやすくなるため、本当に必要な項目だけに絞り込みましょう。
BigQueryにエクスポートする
3つ目は、GA4のデータをBigQueryにエクスポートする方法です。
BigQueryはGoogleが提供するクラウド型データウェアハウスで、GA4との連携によってサンプリングの影響を受けない詳細なデータに直接アクセスできます。
ただし、BigQueryの利用にはSQLの知識が必要となるため、データ分析に不慣れな場合は、サンプリングの適用範囲も含めて事前に学習しておくとよいでしょう。
なお、標準レポート、探索レポート、Looker Studio(GA4をデータソースとする場合)、Data APIではサンプリングが適用されますが、BigQueryに連携したデータのみはサンプリングの影響を受けません。
まとめ

GA4のサンプリングは、膨大なデータを効率的に処理するための重要な機能です。
しかし、場合によっては分析の精度に影響を与える可能性があるため、サンプリングの仕組みや確認方法、回避方法を把握しておくことが大切です。
ぜひ、今後の広告運用にお役立てください。