2025年6月、Yahoo!広告では検索・ディスプレイ広告を中心に複数のアップデートが実施されました。
6月のアップデートでは特に運用方針に影響する変更が多く、今後は新しいポリシーへの適合やデータ分析の強化といった事前準備や対応が求められることとなります。
本記事では、主要なアップデートの概要と広告運用者が意識すべきポイントを整理してお伝えします。
拡張クリック単価(eCPC)の提供終了
まず注目すべきは、検索広告における拡張クリック単価(eCPC)の提供終了です。
2025年6月中旬以降、eCPCの設定ができなくなり、6月下旬には既存キャンペーンも自動的に他の入札戦略へ移行されています。
今後の対応ポイント
- 入札戦略の見直し(例:手動入札、コンバージョン単価目標など)
- コンバージョン地点やデータの明確化による最適化の強化
- 自動入札への切り替え時に成果が乱れないように事前テスト
サーチキーワードターゲティングの終了(YDA)
ディスプレイ広告(運用型)においては、「サーチキーワードターゲティング」が段階的に終了します。
2025年7月中旬からキーワードリスト連携が停止され、8月下旬には完全終了となります。
Yahoo!広告側で実績のあるキーワードリストはオーディエンスリストの一種である「高度なセグメント」へ自動変換されますが、以下の条件に該当するリストは自動移行の対象外となるので注意が必要です。
自動移行されないケース
- 過去100日以内に配信実績がない
- 広告グループまたはアカウント全体のオーディエンスリスト登録数が上限を超えている
これらの条件に該当するリストは配信停止となります。
ショッピング広告のカルーセル表示
2025年6月11日から、検索連動型ショッピング広告(SSA)が検索結果ページのコマース検索モジュールの最上部にて、カルーセル形式で表示されるようになりました。

これにより、ユーザーは検索結果ページのトップで、横にスワイプしながら関連性の高い商品を最大10点まで確認できるようになります。
期待される効果と今後のポイント
- 商品バリエーションを一画面で訴求できる
- 複数商品の同時表示によりクリック率向上が見込める
- 商品画像や価格の競争力がより重要に
今後は商品フィードの精度や在庫・価格情報の更新体制が、広告パフォーマンスに直結する非常に重要な要素となるでしょう。
新しいコンバージョン計測タグの導入
Yahoo!広告のディスプレイ広告では、計測精度の向上を目的に新しいタグ「グローバルスニペット」と「イベントスニペット」が導入されています。
この新しいタグとコンバージョンAPIを組み合わせることで、ブラウザ側のセキュリティ強化や広告ブロッカーの影響を受けにくくなり、より正確なコンバージョン計測が可能です。
複数の媒体でタグ管理を行っている企業は、既存のタグマネージャー(Googleタグマネージャーなど)の設定見直しや、コンバージョンAPIを利用する際のサーバー設定の調整を同時に検討する必要があります。
広告審査ルールの統一と強化
LINEヤフー株式会社は、Yahoo!広告とLINE広告の審査基準について、2025年8月25日より一部の判断基準の統一と強化を行うことを発表しています。
特に「投機性」や「射幸心をあおる表現」についての規制が強化され、以下のようなクリエイティブは審査落ちのリスクが高まります。
審査で問題となる可能性がある表現例
- 「誰でも簡単に稼げる」
- 「今だけ」「即収入」「絶対に儲かる」など断定的な訴求
- 根拠のないランキング表示や過剰なベネフィット誇張
これらの表現は、誤解を招いたり、ユーザーの射幸心を不当にあおったりする可能性があるため、審査で不承認となるリスクが高まります。
したがって、クリエイティブ制作や審査前のチェック体制の見直しを早めに進めましょう。
まとめ
6月に行われたYahoo!広告のアップデートでは、入札戦略、ターゲティング、表示形式、計測タグ、広告審査と、多岐にわたる変更が一気に進んでいます。
広告運用者としては、これらの変更に早期に対応しておくことで、今後の運用における成果の低下を防ぎ、継続的な改善へとつなげることができるでしょう。