2025年6月、X(旧Twitter)がハッシュタグを含む広告の配信を一時停止すると発表し、SNS広告を戦略的に活用してきた企業にとって想定外の仕様変更となりました。
本記事ではその概要と、今後企業が取るべき対応策について解説します。
ハッシュタグ広告の配信停止とは?
今回X社が発表したのは、プロモーション広告における「#ハッシュタグ付き投稿」の当面配信停止です。
そもそもハッシュタグ(#◯◯)は、投稿にテーマやキーワードを付与する記号付きのタグとして、検索性や話題性を高めるために広く活用されてきました。
特にSNS広告においては、話題化・認知拡大・UGC(ユーザー生成コンテンツ)誘導を促す重要な要素の一つです。
しかし、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏は、以前からハッシュタグに批判的な見解を示しており、2025年6月27日にプロモーション広告におけるハッシュタグ付き投稿の配信を停止しました。
このため、企業は今後、ハッシュタグに依存しない新たな形式での投稿・運用が求められています。
今後の対応について
今回のハッシュタグ広告停止という変更を受け、多くの広告主が投稿内容の見直しを迫られています。
以下に、現時点で可能な対策をまとめました。
- 現在の投稿設計を見直す
- 他の広告形式へ切り替え
- 自社ハッシュタグ活用はオーガニック投稿で
それぞれ見ていきましょう。
現在の投稿設計を見直す
投稿文からハッシュタグを削除し、自然な文体でブランドやキーワードを含めるようにしましょう。
キーワードを自然に組み込むことで、検索性ではなく文脈理解を促し、ユーザーの興味を引きつけることができます。
さらに、広告文における検索性よりも「読みやすさ」を重視しましょう。
広告文は、読んだ瞬間にメッセージが伝わるようにし、ユーザーがスクロールする手を止めるような、インパクトのある冒頭文も有効です。
他の広告形式へ切り替え
ハッシュタグなしでも配信できる画像・動画広告、レスポンシブ広告などへ移行しましょう。
具体的には以下のような例が挙げられます。
- 画像・動画広告:短尺の動画でストーリーテリングを行う
- レスポンシブ広告:複数の見出しや説明文、画像を登録し、Xのアルゴリズムに最適な組み合わせを自動で選択させる
- ユーザーのクリックを促す構成:短く、キャッチーな見出しと、具体的なメリットを提示する構成を意識する
また、X以外のSNS(Instagram、YouTube、TikTokなど)への配信拡張を検討し、最適なコンテンツ形式でアプローチしてみるのも良いかもしれません。
自社ハッシュタグ活用はオーガニック投稿で
ハッシュタグは、引き続き「特定の話題を追う」「コミュニティを形成する」という点で有効です。
自社ブランド名やキャンペーン固有のハッシュタグをオーガニック投稿で積極的に活用し、ユーザーのUGCを促すことで、広告では得られないエンゲージメントや拡散効果を狙えます。
また、「〇〇プレゼントキャンペーン」「#〇〇チャレンジ」など、ユーザーが投稿に参加する際に特定のハッシュタグを付けてもらう形式は、引き続き強力な施策です。
これにより、ハッシュタグを介したUGCの集積や、話題の創出も可能です。
まとめ

SNSプラットフォームは、突発的な仕様変更が起こりやすい分野です。
今回のX社のハッシュタグ広告停止措置も、まさにその一例といえるでしょう。
このような変化に対応するため、広告担当者は特定の機能に依存せず、どんな状況でも伝わる柔軟な投稿設計と、複数のSNSを使いこなすマルチチャネル戦略が求められます。
今回の変更を機に、SNS運用体制を改めて見直し、変化に強いマーケティング体制を築いていきましょう。