Googleは2022年7月27日、ChromeブラウザでのサードパーティCookieのサポート完全終了を再延期することを発表しました。開始する目標期日は2024年後半にするとのことです。
本記事では、GoogleがCookie廃止を再延期したことについて、代替となる「プライバシーサンドボックス」と併せてご紹介します。
Cookie廃止の再延期について
Googleは、最初の2020年1月時点では、2年以内のCookie廃止を発表していましたが、1度目の延期で「2023年後半からの段階的な廃止」を発表、今回の再延期では「2024年後半から段階的な廃止を開始する」としています。
サードパーティCookieは複数のサイトを横断してブラウザの閲覧を追跡する特性を持っているため、ターゲティング型の広告配信や効果測定などに使用されてきました。
一方、オンラインでの行動がトラッキングされ、プライバシー保護観点でのリスクがあることも指摘されてきました。
そこでGoogleは、Cookieを代替しながらもプライバシー保護が可能な技術「プライバシーサンドボックス」の開発を推進しています。
プライバシーサンドボックスの開発プロセスは、現在さまざまな段階にあります。
Googleでは、Chromeが責任を持ってサードパーティCookieを廃止できるよう、プライバシーサンドボックスの準備が整う時期をスケジュールとして提供しています。
情報は変更される可能性があり、毎月更新される予定です。
今回発表されている主な内容は以下の通りです。
- 現在プライバシーサンドボックスAPIをテストできる状況であり、8月初旬からトライアルを世界中の数百万ユーザーに拡大し、2022年の終わりから2023年にかけてはトライアル参加者を徐々に増やしていく
- 2023年第3四半期までにChromeでプライバシーサンドボックスAPIが公開され、一般に利用できるようになる
- 開発者がこれらのAPIを採用するのに伴い、2024年後半にChromeのサードパーティCookieの段階的な廃止を開始する
プライバシーサンドボックスに限らず、APIを提供する側はもともと開発スケジュールを少なめに見積もる傾向があります。
再延期の発表によって、新しいプライバシーサンドボックス技術を評価およびテストするための時間の必要性が重視されていると言えるでしょう。
また、今回の延期についてはCMA(イギリス競争・市場庁)を強く意識したものであり、CMAに対して、ステークホルダーと十分に協力しながらこの取り組みを推進しているとアピールする目的もありそうです。
ちなみに、Yahoo! JAPAN、Adobe、Criteo、IAB Europeなどは今回の再延期についてポジティブなコメントを寄せています。
プライバシーサンドボックスとは
ここでプライバシーボックスについておさらいしておきましょう。
オンライン上においてユーザーのプライバシーを保護するには、新しいウェブとアプリの技術が必要です。
近年、一部のブラウザやプラットフォームでは、効果的な代替手段なしでCookieなどの既存メカニズムの制限や削除を行っていますが、これは隠されたトラッキングの使用につながり、ユーザーのプライバシーをリスクにさらすことになります。
企業はサイトやアプリから収益を上げるとともに、関連性の高い広告によってユーザーにリーチするようになるべきでしょう。
プライバシーサンドボックスは、ウェブと Androidアプリの両方でユーザーのプライバシー保護を強化する業界全体の取り組みです。
個人の閲覧情報を把握するようなトラッキング技術に頼らず、ユーザーのプライバシーを保護する代替手段を開発することで、関連性の高いコンテンツや広告を安全に提供できます。
たとえば、「フィンガープリント」のようにユーザーを隠した状態でトラッキングする技術を制限するなど、ユーザーのプライバシー保護を強化した新たな技術の構築を目指しています。
まとめ
今回は、GoogleのCookie廃止再延期についてご紹介しました。
代替となるプライバシーサンドボックスの提供開始と併せて、スケジュールを随時確認していくと良いでしょう。
ぜひ今後の広告運用にお役立てください。