みなさんこんにちは!
今日は、特に広告運用者必見のネット、グロス、マージンの関係性についてです。
というのも、これらは「主語」が何なのかによって見え方が大きく異なるため、請求のトラブル防止のためにも一度詳しく解説しようと思った次第でございます。
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用語としての意味
ネット【net】
純量、正味、純益、正価などの意味。
WEB広告の世界では「媒体原価」を表します。
グロス【gross】
総体、総計などの意味。
WEB広告の世界では「媒体原価とマージン(代理店手数料)を合算した金額」を表します。
マージン【margin】
元値と売り値の開き、利ざやなどの意味。
WEB広告の世界では「代理店の手数料」を表します。
※マージンはネット金額またはグロス金額に対して一定の料率を掛けて計算されることが多いです。
マージン料率が同じでも基準が違えば金額も違う!?
代理店や契約形態によってまちまちですが、マージンを計算する際にはネット、グロスどちらを基準にするかをしっかり確認する必要があります。
なぜか?
それは、代理店のマージン料率が20%だとしても、ネットとグロスどちらにマージン料率を掛けるかでマージンが異なることになるからです。
例として、広告プロモーションをグロス100万円で検討している場合を考えてみましょう。
- 代理店Aはグロス金額を基準にマージンを計算します。
- 代理店Bはネット金額を基準にマージンを計算します。
- 何れの代理店もマージン料率は20%です。
代理店A:グロス金額を基準にしている場合 【グロス建て】
ネット金額 = グロス金額 × (1 - マージン料率) = \1,000,000 × 80% = \800,000
マージン = グロス金額 - ネット金額 = \1,000,000 - \800,000 = \200,000
代理店B:ネット金額を基準にしている場合 【ネット建て】
グロス金額 = (1 + マージン料率) × ネット金額
→ネット金額 = グロス金額 ÷ (1 + マージン料率) = \1,000,000 ÷ 1.2 = \833,333
マージン = グロス金額 - ネット金額 = \1,000,000 - \833,333 = \166,667
いかがでしょうか?ちょっとややこしいですね。
グロス基準とネット基準ではマージンが異なる、つまり広告プロモーションをグロス100万円で考えた場合、ネット基準の代理店の方が実際にプロモーションに割ける広告費が多いという事になります。
この違いを理解していれば、会話の中で「ネット」「グロス」「マージン料率」などのフレーズが飛び交った場合、非常に注意する必要があることをご理解頂けるでしょう。
基準はネット、グロスどちらに置いているのか?
取引のある代理店との契約を今一度確認してみてはいかがでしょうか?
おまけ
そもそも何故このようにややこしい基準が存在しているのでしょうか?
それは、代理店の都合というよりも広告媒体の都合によるところが大きいと私は感じています。
というのも、テレビや新聞、WEBポータルサイトなどの媒体は広告枠を売りに出しています。その広告枠の定価が1000万円といった具合です。
で、広告代理店は広告主に広告枠を販売しその御礼として媒体から販売価格の一定料率をバックしてもらうというのが一般的な商流です。※
ただ、Yahoo、Googleのクリック課金型広告はこのような仕様ではありません。
媒体(Yahoo、Google)からはネット金額が請求されるだけで、基本的に代理店へのバックはありません。
この場合、代理店はネット金額に対して一定料率を掛けた金額をマージンとして計算し、ネット金額とマージンを合算したものをグロス金額として広告主に請求します。
こういった媒体による違いがややこしさの原因となっているのです。
このあたりの事情も理解して頂くことで請求トラブル防止に繋がれば幸いです。
※媒体によりますが、一定金額がバックされる場合と、そもそも一定金額分を差し引いた請求が来る場合があります。