人が商品を認知して購入するまでには、広告やSNS、検索エンジン、メールなど、様々な場面で接点を持ちます。
ビジネスにおいて、コンバージョンを促進するためには、人がコンバージョンに至るまでにどのような接点をたどったか、どの接点の改善をすれば効果的なのかを理解することが重要です。
そのために必要な考え方が「アトリビューション」です。
そこでこの記事では、アトリビューションの定義やアトリビューションが重要視される理由、アトリビューション分析の代表的な7つのモデルについて紹介します。
この記事を読むことでコンバージョンの改善のヒントになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
アトリビューションとは?
アトリビューションとは、直接成果につながった接点だけを評価するのではなく、コンバージョンに至るまでに影響を与えた「流入チャネルごとの貢献度合い」も正しく評価するという考え方です。
アトリビューションは英語では「〜に帰する」「〜のせいにする」という意味で使われます。
マーケティングでは「成功の要因をたどる考え」。言い換えると「〜のおかげ」という表現になります。
たとえば、
- Google広告を見て自分に合ってそうなパソコンを知った
- 翌日Twitterでそのパソコンをおすすめしている人がいて、欲しくなった
- 数日後にパソコンの公式サイトを見たところ、評価も高かったので購入した
これらがすべて購入に至った要因です。購入したのは、「Google広告のおかげ」「Twitterのおかげ」「公式サイトのおかげ」ですね。
アトリビューションでは、コンバージョンに至った要因として、購入に結びついた公式サイトだけを評価するのではなく、その前段階のGoogle広告やTwitterの貢献も正しく評価するべきだと考えるのです。
アトリビューションが重要な理由
重要視される背景は、インターネットやスマートフォンの普及により、様々な接点で情報を得ることができるようになったという「顧客行動の多様化」があります。
商品の購入やサービスの契約などのコンバージョンまでに、インターネット広告やSNS、インターネット検索など、さまざまな媒体から情報を得ています。また、どのような接点をたどるかも顧客ごとに違います。
このように購入までの道のりが無数に増えているため、どの接点が購入の意思決定により強く影響したのかを特定するのは難しいですよね。
だからこそ、コンバージョン直前の接点だけを重視するのは評価としては不適切。間接的にコンバージョンに大きく貢献している接点も評価することが重要と考えるのです。
そうすることで、どの接点に注力すればより効果的にコンバージョンを改善していけるかが判断できるようになります。
アトリビューション分析モデルの種類
集客や顧客に対するコミュニケーションの方針を定めるための分析を行うことを「アトリビューション分析」といい、Google Analyticsのアトリビューションに基づくと、8つの型(モデル)があります。
ここでは、次のモデルケースを例に8つ型の違いを解説します。
【モデルケース】
- ユーザーがGoogle広告をクリックしてサイトを見つける
- 1週間後にSNSのリンクをクリックして再びアクセスする
- 同じ日、3度目にメールキャンペーンのリンクをたどってアクセスする
- その数時間後に今度は直接アクセスして商品の購入に至った
終点アトリビューションモデル
成果に結びついた最後の接点に販売に関する貢献度が100%割り振られます。
今回のモデルケースでは、購入直前は直接アクセスしているので、この直接的なチャネルに貢献度が100%振り分けられるということになります。
最後の間接クリックアトリビューションモデル
直接アクセス(ノーリファラー)は無視した上で、顧客がコンバージョンにいたる前に最後にクリックしたチャネルに販売に関する貢献度が100%割り振られます。
今回のモデルケースでは、コンバージョン直前は直接アクセスです。その前はメールチャネルからアクセスしていますね。
直接アクセスは無視するので「最後の間接クリックアトリビューション」ではメールチャネルに貢献度が100%振り分けられるということになるのです。
Google広告のラストクリックアトリビューションモデル
Google広告の最後のクリックに販売に関する貢献度がを100%割り振られます。
今回のモデルケースでは、Google広告の最後のクリックは、接点のきっかけになった最初のクリックですね。
つまり、最初で最後であるGoogle広告クリックに貢献度が100%振り分けられるということになります。
起点アトリビューションモデル
成果に結びついたユーザーが最初に接点を持ったチャネルへ貢献度が100%割り振られます。
今回のモデルケースでは、Google広告チャネルに貢献度が100%振り分けられるということになります。
線形アトリビューションモデル
コンバージョン経路の各接点に販売に関する貢献度が均等に割り振られます。
今回のモデルケースでは、Google広告、SNS、メール、直接的なチャネルのそれぞれに25%の貢献度が割り振られるということになります。
減衰アトリビューションモデル
販売やコンバージョンに時間的に最も近い接点に最大の貢献度が割り振られます。
割合は、最後に接点を持ったチャネルを最も高く評価し、最初の接点に向かうにつれ、接点を持った期間に応じて割合が小さくなるように割り振られます。
今回のモデルケースでは、ユーザーがコンバージョンにいたる数時間以内に直接的なチャネルとメールチャネルを利用しているため、これら 2 つのチャネルに大きく貢献度が割り振られるのです。
SNSチャネルに割り振られる貢献度は、これらのチャネルよりも少なくなります。
また、1 週間前にクリックした有料検索には、貢献度はほとんど割り振られません。
接点ベースアトリビューションモデル
起点と終点それぞれに40%の貢献度が割り振られ、残りの20%は中間点に均等に割り振られます。
今回のモデルケースの場合、貢献度はGoogle広告チャネルと直接的なチャネルにそれぞれ40%ずつ、残りの20%はSNSとメールチャネルに10%ずつ割り振られます。
データドリブンアトリビューションモデル
最近新たに追加された「データドリブンアトリビューションモデル」とは、過去にコンバージョンに至った行動のデータを元に、どのキーワード、どのキャンペーンがコンバージョンに貢献したのか。その貢献度を分析し、Googleが貢献度を割り当てる方法です。
例えば、あなたが家具ショップ「KAGUドットコム」というビジネスを展開していたとします。
その際に、ユーザーが『椅子 おすすめ』『業務用 椅子 価格』『レストラン用 椅子』『KAGUドットコム 椅子』と順に検索し、最後の『KAGUドットコム 椅子』でコンバージョンに至ったユーザーが非常に多かったとします。
その場合、Google側は「なるほど。この経路でコンバージョンに至るなら『KAGUドットコム 椅子』の貢献度が高いので、強めに評価しよう!」となって、貢献度を高めに設定します。
そのため、他のアトリビューションモデルでは管理画面でコンバージョンの列を見た際に「整数」で表示されていたものが「小数点」を含む結果が表示されるようになります。
小数点の表示が分かりづらいということで敬遠されるお客様が多いですが、このモデルは非常に広告運用において効果を発揮することが多く、どういう経路でユーザーがコンバージョンに至ったのかが可視化されるので、おすすめの設定です。
Google広告のヘルプページでも解説されているので、ぜひコチラも御覧ください。
成長戦略に合わせてアトリビューションモデルを選択する
これまでに紹介したアトリビューションモデルは、「どのようにビジネスを成長させたいフェーズなのか」という視点で考えましょう。
積極的に成長を図りたい場合に向いているのは、「ファーストクリック」や「接点ベース」などの初期段階の接点を評価するアトリビューションモデルです。
ユーザーが商品の購入を検討し始めた時点では、まだ購入の意志は固まっていないことが多く、費用対効果は購入前の接触地点に比べて悪くなりがちです。
しかしながら、検討初期のユーザーに広告予算を多く配分してアプローチすることで、商品を購入してくれる可能性のあるユーザーへ多く接触すること可能となります。
たとえば、費用対効果を多少下げてでも売上規模の拡大を図っていきたい場合に検討するのをおすすめします。
その一方、積極的な成長を目指すよりも慎重に拡大していきたい場合は、「ラストクリック」や「減衰」などの購入の直前を評価するアトリビューションモデルから取り入れてみるのがよいでしょう。
購入に近い接触となるため、費用対効果を重視できます。
そして「データドリブン」は、Google側も推奨しているアトリビューションモデルです。
ただ、「30 日以内に 300 回以上のコンバージョンと 3,000 回以上の広告インタラクション」が必要となっており、要件にみたない場合は「ラストクリック」に変更されるので、せっかくデータドリブンに変更したのに勝手に変わっていることもあるので注意が必要です!
まとめ
この記事では、アトリビューションの定義やアトリビューションが重要視される理由、アトリビューション分析の代表的な8つのモデルについて紹介しました。
アトリビューションは、顧客の行動をより正確に理解し、各接点におけるコミュニケーションを改善するために重要な考え方です。
この記事を参考にぜひ取り入れてみてください。