こんにちは。
営業部の水野です。
iOS11へのアップデートを機にsafariにITPが実装されてから、一年が経ちました。
Googleやマイクロソフト社は既に対応を発表済みですが、未だに多くの広告主はサードパーティCookieを使ってトラッキングを行っているのが実情で、そのトラッキングをITPによって防がれてしまうと正確な情報が得られなくなってしまいます。
そんな中で、ついにFacebook社もファーストパーティCookieを導入することでITPへの対策を打つことになりました。
そもそも、ファーストパーティ、サードパーティって?
Web広告を配信した際に得られるデータは、主にCookie情報に基づいてトラッキングされています。
このCookieには大きく2つの種類があり、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieと呼ばれています。
両者の違いは明確で、Cookieの発行元がどこのドメインかで判断されます。
例として、ユーザーがとあるECサイトに訪れたとしましょう。
そのサイトから離脱し他のサイトを回遊した後、もう一度同じサイトに訪れると「過去に閲覧した商品」が画面上にならんでいます。
「過去に閲覧した商品」はCookie情報に基づいて表示されているのですが、これはそのサイトのドメインからCookieが発行されています。
一方で、そのサイトにはバナー広告があり、他のサイトを回遊中に見た商品がバナー広告として表示されていたとします。(いわゆるリマーケティング広告)
バナー広告はアドネットワーク経由で配信されているので、アドネットワークのドメインからCookieが発行されています。
この場合、ユーザーが実際に訪れているサイトのドメインから発行されているCookieがファーストパーティCookie、アドネットワークのドメイン(要はサイト以外のドメイン)から発行されているCookieをサードパーティCookieと呼びます。
ファーストパーティCookieはユーザーにブロックされにくいという特徴があり、より精度の高いトラッキングが可能です。
一方で、サードパーティCookieはプライバシー保護の観点からサードパーティCookieをブロックするブラウザが増えてきており、特にWeb広告においては正確なトラッキングがしにくくなってきています。
Facebook社のファーストパーティCookieの利用開始による影響
Facebook社によると、日本時間の2018年10月24日よりファーストパーティCookieの利用が可能になるとのことです。
ファーストパーティCookieの利用方法としては、Facebook広告の広告マネージャーからピクセルのファーストパーティCookieとサードパーティCookieのどちらを利用するか選択できるような仕組みになるようです。
ちなみに10月24日を機に自動的にファーストパーティCookieに切り替わるようなので、サードパーティCookieを利用したい方は上記の方法で選択する必要があります。
とはいえ、そもそもITPはユーザーのプライバシーを保護するという観点から、サードパーティCookieによるデータ収集を行わせないようにするという理念のもと作られたものなので、今回のFacebookの動きはこの理念に相反する形となります。
したがって、こういったアドテク業界の動きに対してITP側が新たな技術的制限を設ける可能性は充分にあります。
2017年9月にApple社よりsafariへのITP実装が発表されましたが、その直後にGoogleが対策を打ち出し、さらに2018年1月にはマイクロソフト社(Bing)がITPへの対応を行っています。
一方のApple社も、2018年6月のWWDにてITPの強化を発表しており、アドテク業界はすでにいたちごっこが始まっています。
iOSがアップデートされることでITPの強化が行われることも十分考えられるので、当面はアドテク業界の動きに注視しておくべきでしょう。
まとめ
今回Facebook社がファーストパーティCookieを利用したトラッキングを実装したことで、より正確なトラッキングデータを得られるようになりました。
一方で、さらに強力な技術的制限をITP側が課す可能性もあります。
そもそも、GoogleやFacebookなどの巨大企業であれば技術的対応措置をすぐにとることができますが、そうではない中小のアドテク企業は中々そうもいきません。
したがって、今後ITPが強化されていくにつれてこういった中小のアドテク企業がどのように対応していくかも大きな課題となりそうです。