こんにちは!過去の記事で「成果の目線」について2つ事例紹介をしましたが、今回は第3弾で配信エリアの事例を簡単にご紹介させて頂きます。初心者で広告運用にも慣れ、「エリア」「デバイス」「時間帯」などの切り口でデータ分析や施策を行えるようになった方も増えていると思います。ただ、上記のような切り口で分析した施策でも「以前よりクライアント様から売上が下がった」と、思った結果につながっていない方もいるのではないでしょうか。
それらよくあるケースの一つとして、管理画面上とクライアント様が見ている数値の乖離によるものと思います。今回の記事ではリスティング広告の実績とクライアント様の持っている数値情報を組み合わせることで、より一歩踏み込んで次の施策へ繋げることができたものになります。それでは早速記事の事例紹介に移らせて頂きます。※下記に過去記事や「成果の目線」について内容を記載していますので、こちらも見ていただけたらと。
前回の記事
【初心者・中級者向け】成果獲得、お客様目線で見ていますか?
https://quartet-communications.com/info/listing/technique/66239【初心者向け】成果獲得、お客様目線で見ていますか?②
https://quartet-communications.com/info/listing/67748
事例紹介:案件概要
今回紹介するクライアントの案件概要は下記の通りになります。
- 商材:スポーツ用品・ウェア、サプリメントの通販サイト
- 配信エリア:全国
- 媒体:Google
- 目的:商品購入者の獲得
- 月額広告費:140万円
- KGI:商品購入者の獲得
- リスティング広告のKPI:Webサイト上での購入完了
- 目標CPA:9,000円以下
商品購入について
商品購入はWeb上だけでなく「電話」「FAX」「カタログ取り寄せ」でもできるため、広告の管理画面のパフォーマンスとクライアント様の体感値に乖離が出やすい案件です。
配信結果
CPAはわずかながら目標を超えていてもう少しで達成しそうですね。ですが、実は本件1年近くお任せいただいており、不要なクエリの除外やキーワードの見直し、デバイス間の入札調整などPDCAを回してきましたが、目標CPA:9,000円を下回ったりときもあれば、上図のCPAくらいを推移するといったなかなか安定しない結果が続いていました。
次の施策はどうするか
では次どのように施策を打つか、クライアント様と打ち合わせ・話し合いを重ね、一部「配信エリア」でCPAが高いエリアの配信停止を試みることになりました。配信エリアを停止するということはそのエリアに居る購入見込みの高いユーザーからのクリックや購入(カート購入、電話、FAXなど)もほぼ無くなるといったリスクもあります。
ただ今回はコロナの影響もあり、できれば広告費を抑えたいといった先方の要望もあり、それであれば検証の範囲で見てみましょうとなりました。では、配信エリア別の実績を集計しましたので、見てみましょう。
配信エリア実績
今回、停止する配信エリアを選定するために1年分のデータで集計しました。下図がそのエリア別データとなります。先方と話した結果、まずCPAが12,000円以上のエリアを停止したいと話になりましたのでさっそく該当のエリアを赤字にしてみました。
停止対象のエリア(上図赤字)は22県になりますね。管理画面上の数値から判断するのであれば、このエリアを停止することでCPA抑制が期待できますね!では早速配信エリアを停止・・と行きたいのですが・・。
ここで疑問
本当に赤字のエリアを止めるのはいいでしょうか。停止対象の配信エリアにはCVを獲得数上位のエリア(兵庫県・千葉・北海道)がありますよね。CV獲得数上位のエリアを止める=その分ごっそりCVが落ちるため、売上への影響も大きいですよね。CPAを抑えたい要望はあれど捨て置け無い問題と危惧できたのであれば、私はお客様の目線に立てている運用者ではないかと考えています。
そもそも上記はCVは「WEBサイト上のみの購入」ですので、他の購入経路も踏まえると実際どうなのかを見てみましょう。
クライアント様のエリア別データ
下図がクライアント様が持っている配信エリアのデータ(1年分)となります。よりエリア別の購入者データとして精度が高いため、このデータを用いて購入者獲得単価(※)が基準より高いエリアを停止することで検証を進めることになりました。※購入者獲得単価は、リスティング広告の費用を購入者数で割った理論値です。
赤字が該当の停止エリアとなります。全体の購入者獲得単価は集計・計算すると約4300円でした。そのため停止の選定基準は5,000円と設定し、停止対象のエリアを選定しています。このデータを見ると管理画面上のデータから選定したエリアと重複するものもあれば違うものありますね・・!
実際に管理画面とクライアント様のデータを比較してみた
では、管理画面上で停止対象となったエリアと、クライアント様のデータから停止対象となったエリアを比較してみました。
比較してみると、管理画面上から除外選定したエリアは、クライアント様の持っている情報で選定したエリアと重複しているものは半分程度しかありません。※管理画面上から判断した除外対象エリア:22件・クライアント様の情報で選定したエリアと重複しているエリア:12件
特に管理画面上でCV獲得数上位にいる「兵庫県」「千葉県」「茨城県」はクライアント様の除外対象エリアにはいません。もし管理画面上のデータのみで判断すると、CV数がガタッと落ち、クライアント様の売上に影響が出ますよね・・!
経験上ですが、途中でCPAを下げたいと仰られるクライアント様のよくあるケースが「売上が良かった・目標達成している」からという前提があります。
クライアント様が想定していない売上の下がり方をすると、手当たりしだいの施策・テコ入れが入り、更に悪化するといった結果を耳にしますので、過去記事同様に管理画面だけのデータを鵜呑みにしてすすめるよりはクライアント様の持っているデータを貰いに行きましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか。過去記事同様、管理画面だけで見ているデータと実態の乖離による影響の度合いをご認識いただけたら幸いです。私も運用初心者だったころは、管理画面上のデータを鵜呑みにエリアの停止やテコ入れなど手当たりしだいにやった記憶がありますが、単純にクリック数が減って売上が下がったなんてオチを経験したこともあります。
広告運用をより良い結果にするにはお客様の持っている情報は不可欠ですので、分析した結果・施策がうまくいかない方はぜひお試しあれ。今回はエリアの停止をして一ヶ月立っていないため、結果については機会があれば紹介出来たらと思います。