近年のマーケティング活動では、自社を取り巻く環境や自社の環境について分析した上で戦略を練る必要があります。
その際に重要となるフレームワーク(枠組み)が、「3C分析」です。
マーケティングのフレームワークを勉強していると必ず出てくる言葉ですが、よく理解できていない方や実際どのように始めたらいいのかわからないという方も多いかもしれません。
そこで今回は、3C分析の基礎から実際に自分で行う際のポイント、事例などを詳しくご紹介します。
1.3C分析とは
「3C分析」とは、マーケティング環境を分析する際に使われるフレームワークの一つです。
経営コンサルタント大前研一氏の著書「企業参謀 (The Mind of the strategist)」の中に出てくる言葉で、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」という3つの視点の頭文字をとって「3C」とされています。
3C分析においては、自社でコントロールできない外部環境として「市場・顧客」「競合」を、また自社の内部環境として「自社」を分析の対象としています。
3C分析を用いた的確な戦略策定によって、市場での競争力を高めたり、事業成長につなげたりすることが可能になります。
2.3C分析の必要性・なぜやるのか
マーケティングを成功に導くためには、自社の分析だけではなく、市場・顧客と競合企業などの環境要因の分析も行う必要があります。
例えば、「今月は〇〇の売上が好調だったので、来月も○○の販売に主軸を置いていこう」といった方針は、自社の環境だけで判断しており、客観的な視点が欠けているといえます。
世の中や市場の環境は常に変化しているため、マーケティングでは客観的視点での環境分析を必ず行うことが重要です。
その点、3C分析では、自社・顧客・競合といったさまざまな視点からの環境分析によって、最適な自社戦略を策定することが可能です。
3C分析は、マーケティング戦略の一環として必要性が高いフレームワークだといえるでしょう。
3.3C分析のやり方・方法
3C分析は下記の順番で行うのが一般的です。
- 市場・顧客分析
- 競合分析
- 自社分析
それぞれで把握するべき項目を説明します。
市場・顧客分析
3つの「C」の中で最初に行うのは、市場・顧客の分析です。
市場や顧客の状況を知っておくことで、自社が置かれている立場を正確に把握できます。
市場・顧客の分析で把握しておくべきなのは、「市場」の視点からは業界の市場規模と成長性を、また「顧客」の視点からは顧客ニーズと顧客の消費行動・購買行動などです。
競合分析
次に、競合分析を行います。
「競合」の分析においては、競合各社についての特徴をはじめ、現状シェアとその推移、そしてライバルとなるのはその企業かといった点も把握する必要があります。
この場合、結果そのものと、その結果が出た理由を検討することがポイントになります。
自社分析
ここまでの市場・顧客分析と競合分析をまとめて、自社が打つべき手について検討します。
「自社」分析の際に把握する項目としては、自社の企業理念・ビジョン、売上や戦略など既存事業の現状、現有リソースなどが代表的です。
また、「VRIO分析」というフレームワークを用いて自社の経営資源にフォーカスすることもおすすめします。
4.3C分析のポイントと注意点
次に、3C分析を実施する際に抑えておきたいポイントと注意点を解説します。
USP(他社にはない自社の強み)を見つけ出す
単に3C分析をするだけで終わってはいけません。
3C分析から見える、自社の強みはなにかをしっかりと見つけ出しましょう!
分析をするだけで満足する方が多いので、ここが一番のポイントとも言えます。
事実を集める
3C分析を行う上で最も重要なポイントが、「事実を集める」ことです。
フレームワークを活用するには、正しい「事実」をベースにした分析が欠かせません。
そのため、集めた情報に「事実」と「解釈や意見」が混在しないよう、明確に分けておく必要があります。
また、インターネットの情報だけでは判断材料が乏しくなる可能性が高いため、直接顧客の意見を聞くなど、自分の足で情報を集めることも大切です。
順番に分析を行う
3つのCを分析する際は、順番に行うことを意識しましょう。
上記のように、「市場・顧客分析」を最初に行い、次に「競合分析」と「自社分析」を行います。
最初に競合や自社の分析から始めてしまうと、全体を通して固定観念にとらわれた分析になりがちです。
順番を意識して市場・顧客から分析を始めることが、3C分析を成功させるポイントになります。
時間をかけすぎない
3C分析はできるだけスピーディーに行うことが重要です。
市場が変化すると、ニーズや流行も変化します。
刷新されていない古い情報のままで分析を進めてしまうと、的確な結果を得られません。
スムーズに行動を始め、迅速に実施する必要があります。
フレームワークを組み合わせる
いくつかのフレームワークを組み合わせて実施することで、多角的な分析が可能になります。
1つのフレームワークだけでは分析結果が制限されてしまうため、複数のフレームワークを活用すると良いでしょう。
5.3C分析はいつやるべきか
それでは、3C分析はいつ行うべきなのでしょうか。
マーケティング戦略アプローチでは、「環境分析」「基本戦略」「具体的施策」の3つのフェーズを順番に行うのが基本です。
「環境分析」フェーズにおいては、最初に「マクロ環境分析(PEST分析)」を行い、次に「業界環境分析(3C分析)」を行った上で「戦略目標(SWOT分析)」を行います。
つまり、PEST分析や3C分析で集めたマーケティングに関する「事実」情報をもとに、SWOT分析で「解釈」をするという流れです。
このことから、3C分析はマクロ環境分析に近い位置にあるフレームワークだといえるでしょう。
6.3C分析の弊社事例
ここからは実際の3C分析の事例を公開します!
※企業様の名前は伏せて公開しております。
某カフェチェーン店の3C分析
3C分析事例:市場環境
日本の喫茶店業界の市場環境の状況です。
喫茶店市場規模1.2兆円(2022年のデータ)
喫茶店の店舗数は横ばい、もしくは減少傾向
コンビニでも気軽に美味しいコーヒーが飲めるように
オフィスや自宅以外でコーヒーを飲みたい人が多い
従来のカフェ店では、「くつろぐことが出来ない」という不満を持つ人が存在
喫茶店やホテルのコーヒーは高価で、若者や女性は敬遠
コーヒーの味に不満を持つ顧客
3C分析事例:競合環境
日本の喫茶店業界の競合状況です。
一般的なカフェ店ではコーヒー1杯300~400円以下の低価格が主流
【〇〇(企業名)】売上:230億円、店舗数:約500店舗
【〇〇(企業名)】売上:89億円、店舗数:約120店舗
ホテルなどではコーヒー1杯が800円以上が当たり前。(その分空間が与えられる)
コンビニのコーヒーは150円~で、近年はクオリティの高いコーヒーが飲める
一般的なカフェではブレンドコーヒーが中心で、商品の種類は少ない
一般的なカフェはフランチャイズ形式が主流で、店舗ごとの品質にバラつき有り
3C分析事例:自社環境
高級なコーヒー豆を使用
直営店による展開
マニュアル化による徹底した品質管理
メニューが豊富で、一定のカスタマイズが可能
高いサービスレベルを維持
内装は高級ソファや絵画などを使用したおしゃれな雰囲気
コーヒーの味はもちろん、空間を大事にしている
3C分析から導かれる、自社のUSP
コーヒーの提供だけでなく、内装にもこだわり、顧客が本当に心から安らげる空間の提供
7.3C分析のテンプレート
以下は3C分析で使用できるテンプレートです!
実際に自社の研修やお客様の分析でも使用しているテンプレートなので、最大限使える資料になっています。ぜひご活用ください!