前置き
日々の運用、お疲れ様です。
今回は、地域限定の広告主様(例えば、地域密着の医院様とか飲食店様とか)のリスティング広告の運用で、RLSA(Remarketing List for Search Ads)を使ってみた事例をお伝え致します。
ここで、「RLSA(Remarketing List for Search Ads)とは、何ですか?」という方は、以下、弊社記事が参考になりますので、こちらをご覧いただければと思います。
RLSAがサーチの可能性を広げるかも《Google AdWords》
最初に、RLSAを使ってみての結果をお伝え致します。
結果として、以下のようになりました。
RLSA設定前 ⇒ RLSA設定後
クリック率: 0.36% ⇒ 0.61% (171%上昇)
クリック単価: 68円 ⇒ 37円 (54%低下)
次に、「なぜ、地域限定のリスティング広告運用で、RLSAを使ってみたのか?」という理由ですが、それは、地域限定のリスティング広告運用において、以下のような課題があると考えており、それらを、どうやったら解決できるか、ということがきっかけです。
【地域限定のリスティング広告運用における課題】
- エリアが、特定地域だけに絞られている。→実店舗を構えているため、訪れるユーザー数が限定されるので集客が大変
- ご予算が限られている。→エリアで競合するライバルが多いと単価が高くなり、予算内でのクリック数が安く獲得できない
これら課題を解決するために、考えた施策が、「RLSA」となります。
それでは、「RLSAを使って、これら課題を、いかにして解決したのか?」という事例を具体的にお伝え致します。
事例
下の画像は、とある地域限定の広告主様の、とあるGoogleアカウントのとある期間の管理画面(一部)です。
まず、今回の施策で、どのようなRLSA設定を施したのか、解説します。
RLSA設定の内容について
画像中に、「RLSA設定前」「RLSA適用」「RLSA除外」という部分がありますが、これらが、今回の施策の対象となるキーワードで、全て、全く同じマッチタイプのキーワードです(便宜上、「施策kw」とします)。
それぞれの設定内容は、以下の通りです。
RLSA設定前:
RLSAを設定する前のキーワードになります。このキーワードは、それまでの運用結果から、他のキーワードと比較すると、多くのクリック数を集めることができており、
今回の施策検証のキーワードとして、的確と判断したキーワードとなります。
施策後は、RLSAの設定を施したキーワードに、クリックを集める為、停止しています。
RLSA適用:
RLSA設定において、リストの適用を施したキーワードです。RLSA設定のリスト適用内容としては、「サイトに訪問したことのあるユーザーに対して、追いかけて広告を配信する」ように、設定しています。
RLSA除外:
RLSA設定において、リストの除外を施したキーワードです。RLSA設定のリスト除外内容としては、「サイトに訪問したことのないユーザーに対して、広告を配信する」ように、設定しています。
次に、今回のRLSA設定によって、どのようにターゲットユーザーを切り分けることができたのか、解説します。
RLSAによるターゲットユーザーの切り分けについて
RLSA設定前:
RLSAの設定前のキーワードは、以下のようなユーザー層に対して、広告を表示していたと想定しています。
ユーザーA:施策kwを検索し、広告を見て、クリックし、広告主様のサイトを訪問したことのあるユーザー
ユーザーB:施策kwを検索し、広告を見たが(もしくは、見ずに)、クリックせず、広告主様のサイトを訪問しなかったユーザー
このことから、何が考えられるのかというと、「ユーザーA」は、
サイトに訪問して、広告主様のサイト・サービスを知り、
↓
興味を持ったが、
↓
アクションせず(コンバージョンせず)、
↓
離脱したが、
↓
再度、施策kwを検索し、また、広告主様のサイトを訪問
という行動をする可能性があるユーザーと考えました。
これは、つまり。
仮に、施策kwのクリック単価が「100円」として、このユーザーAが、複数回、施策kwを検索し、広告をクリックした場合は、その度に、「100円」が課金されるということです。
ユーザーの行動として、複数回、広告をクリックし、サイトに訪問し、他の競合他社と比較検討するという流れは、普通の動き方だと思うのですが、地域限定で、かつご予算が限られているリスティング広告を運用する際には、無用なクリック課金となってしまう可能性が高く、できる限り、そのようなご予算の投下は避けたいところです。
そこで、RLSA設定を施したことによって、全く同じキーワードであるにも関わらず、広告を表示させるユーザー層を切り分けることができるようにしました。
RLSA適用 ⇒ ユーザーAに対して、広告表示
RLSA除外 ⇒ ユーザーBに対して、広告表示
これらの設定によって、「ユーザーA」「ユーザーB」に対して、入札価格・広告文の変更など、それぞれ適切なアプローチが可能となります。
以上、施策検証の結果を、データをまとめましたので、RLSA設定前後(施策前後7日間)で、どれだけの違いがあるのか、見ていきます。
結果
画像において、着目していただきたい部分を赤枠で囲っています。
クリック数 : 施策前 22回 ⇒ 施策後 26回
クリック率 : 施策前 0.36% ⇒ 施策後 0.61%
クリック単価: 施策前 68円 ⇒ 施策後 37円
ご利用金額 : 施策前 1,493円 ⇒ 施策後 957円
さらに、RLSA設定によって得られた結果の中で、興味深い点として。
RLSAリスト適用したキーワードのクリック率の高さ、クリック単価の低さ、平均掲載順位の高さです(青枠)。
RLSA設定前・RLSAリスト除外したキーワードよりも、この部分で、大きく改善された結果、RLSA設定後のクリック単価を、大きく押し下げる形となっています。
RLSAリスト適用によって、サイトの存在を知っているユーザーに対して、広告を表示させることができるようになった為、既存の広告よりも、クリックしやすくなった結果、クリック率の上昇、及び掲載順位の上昇につながっているものと思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
結果として、RLSAを設定したことにより、設定前と比べて、さらに効率的に、クリックを増やすことに成功しました。
この広告主様の場合、管理画面上のコンバージョンよりも、電話等の実問い合わせを、広告運用のゴールにしているのですが、設定前は、1日平均1件程度の問い合わせ状況であったものが、設定後は、1日平均1.5~2件程度と、ほぼ倍増しているそうです。
今回の施策が、一定の効果を生んでいる可能性がありますね。
最後に、リスティング広告を運用する上で、キーワードをベースに、ユーザー層の組み立てや想定するということは、非常に重要な部分だったりするのですが、今回のユーザー層の想定は、基本的な方であったと思います。
しかし、基本的と言っても、正確に想定できず、間違った想定の元、施策を繰り返してしまうと、全く、広告効果が改善されないということも、往々にしてあります。
こういったところから、リスティング広告の運用の経験を積み重ねていきたいものですね。